premonition ページ12
姫様とまるで本当の友のような関係になってから二、三日が過ぎた。
初めて会った時よりも、お淑やかなお姫様という皮をすっかり脱いでしまったらしい。さらに人懐っこくなった子犬のような彼女に毎度毎度、笑みがこぼれる。
夕食の時間の後は、一人静かに過ごせる時間。彼女と話すようになってから、気持ちが不安定になることが減った。俺がずっと探していたものは、もしかしたら彼女のような理解者だったのかもしれない。
黄昏時の空はやはり美しい。
沈みきっていない橙色の太陽と、夜を迎えようと染まっていく青とも紫とも黒とも言える空。白い雲はそのたくさんの色に染まっていてとても幻想的だ。
今までも見る機会はたくさんあったし、言ってしまえば勉強してきた分野を考えると他の人よりも多く目にしてきたんじゃないだろうか。
そう思っても、なんだか今日の空は特別綺麗に見えた。今まで見てきた中で一番美しい…と言えるほど。
そこでふと、あることを思い出した。
彼女が俺を外へ連れ出したのは、てっきり侍女たちから話を聞いたものだと思っていたけど、多分それだけじゃない。
“約束…したんだったな。”
随分と前に、今度は二人で話したいと言った彼女の言葉に同意した記憶がある。彼女のことだ。忘れていた、なんて可能性はかなり低い。
一切そんな素振りを見せないところがまた、彼女らしい。
素直に見せかけて、案外素直ではないのかもしれない。不器用な彼女を見たのかもしれないと思うと、また距離が近づいたように感じた。
すっかり日は沈み、空一面に数え切れないほどの星が広がった。一際輝く月が目に入って思う。あぁ…今日は満月だったのか、と。
一ヶ月半。思っていたよりも、時間というものは早く過ぎ去ってしまうらしい。一ヶ月経った時に不安になっていたことが、ずっと前の出来事のように思える。
“月が綺麗ですね。”なんてことも言われたな。ちょうど彼女がこの国へ来る前のことだった。
海の家族たちは元気にしているだろうか。過保護な両親は泣いていないだろうか。俺に甘かった姉たちは、好きな人くらい出来たのだろうか。魔法使いの彼は想いを伝えたのだろうか。
走馬灯のように頭を駆け巡る思い出たちは満月を見て思い出したのかな。
そんな中
ｺﾝｺﾝｺﾝ
突然なったノック音が俺を現実へと引き戻した。
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Ju(プロフ) - 玖黎さん» SNSしておられたらフォローしたいな…と思っておりました、IDが載せられないのでやはりしておられなかったんですね（;;）キリンのように首を長くして待っていたので読者として私も安心です。主さんのペースで、頑張り過ぎないで下さい。また感想綴りにきます^^ (2021年6月9日 2時) (
レス) id: daebecd63d (このIDを非表示/違反報告)
玖黎(プロフ) - Juさん» ありがとうございます、そのお言葉がとても嬉しいです！SNSをやっていない為リアルタイムで皆様の感想を聞けない分、不安もありましたが無事完結させることが出来て私もほっとしております。この先も、応援していただけると嬉しいです！ (2021年6月8日 20時) (レス) id: 02deec9f9d (このIDを非表示/違反報告)
Ju(プロフ) - コメント失礼致します。完結おめでとうございます！mmabの中で唯一待ち続け、更新中に何度も読み返し更新されては直ぐに読む！を繰り返した作品なのでとても嬉しいです。本編終了後も未だ続くと聞いて興奮が冷めません、とっても楽しみにしています！ (2021年6月8日 18時) (レス) id: daebecd63d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玖黎 | 作成日時：2021年2月7日 18時
