・ ページ13
黒「突然すみません。時間も時間ですし、良くないとは思ったのですが…どうしても、話したいことがあって。」
ノック音の主は王子様だった。時間を気にしているのは、きっと夜に男女が二人きりになるのはあまり良くない、ってことなんだろうな。
噂ってたくさんの尾びれがついてどんどん広まっていくし…。彼の立場上、変なものが流れるのは良くないんだろう。
［大丈夫ですよ。それで、話というのは？］
話がある、と言ってやって来た彼だったがそれを見て言葉を詰まらせてしまった。
…余程、深刻な内容なのだろうか。そうだとして、なぜ俺にそれを？
黒「…決して深刻な話ではありません。私の…心の準備に、時間がかかっているだけなので…。」
胸に手を当てながら何度も深呼吸をしている目の前の彼。…どうしよう、全く心当たりが無い。
俺に伝えることで、深刻じゃない内容…話の候補すら出てこない。
さっきまで緊張しているような素振りを見せていたのに、俺が真剣に考えている様子を見るといつものように微笑んだ。
黒「やっぱり…貴方らしいですね。」
最後にもう一度大きな深呼吸をしてから彼は床に膝をつけた。
まるで御伽噺のような光景。
彼は俺の片手を取って手の甲に軽くキスをした後、俺と目を合わせてきた。
それだけでも情報処理のスピードが追いつかなくなりそうなのに、合わせられた瞳があまりにも綺麗で俺は息を呑んでその次に続く言葉を待った。
黒「亮平。私は…俺は、
貴方のことが好きです。」
うんうん、そっか。王子様は俺のことが好きなのか。…え？
“す、き…？”
その言葉を聞いた瞬間に熱を感じた足と喉。でも、俺にそんなことを考えている余裕なんてなくて
「…ぇ？」
気付いた時には、一ヶ月半ぶりに出る声が本当に小さく漏れ出ていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 496人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Ju(プロフ) - 玖黎さん» SNSしておられたらフォローしたいな…と思っておりました、IDが載せられないのでやはりしておられなかったんですね（;;）キリンのように首を長くして待っていたので読者として私も安心です。主さんのペースで、頑張り過ぎないで下さい。また感想綴りにきます^^ (2021年6月9日 2時) (
レス) id: daebecd63d (このIDを非表示/違反報告)
玖黎(プロフ) - Juさん» ありがとうございます、そのお言葉がとても嬉しいです！SNSをやっていない為リアルタイムで皆様の感想を聞けない分、不安もありましたが無事完結させることが出来て私もほっとしております。この先も、応援していただけると嬉しいです！ (2021年6月8日 20時) (レス) id: 02deec9f9d (このIDを非表示/違反報告)
Ju(プロフ) - コメント失礼致します。完結おめでとうございます！mmabの中で唯一待ち続け、更新中に何度も読み返し更新されては直ぐに読む！を繰り返した作品なのでとても嬉しいです。本編終了後も未だ続くと聞いて興奮が冷めません、とっても楽しみにしています！ (2021年6月8日 18時) (レス) id: daebecd63d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：玖黎 | 作成日時：2021年2月7日 18時
