・ ページ2
姫様がいらっしゃって次の日、仲良くなる為にと庭園で一緒にお話をする約束をした。…俺を呼ぶ必要なんてないのにね。
彼女は帝国のお姫様だ。素性も知れず、喋れず、歩けない俺なんかよりも、国の為になる。
陛下も王妃様も良い方達だし、俺を蔑ろにするような事はもちろんしないし直接言葉にすることもない。でも、帝国は王国よりも力がある。
いくら皇帝と陛下が学友だとはいえ、皇帝の機嫌を損ねる事はしたくないだろう。
それに…
“なんで俺は彼女の存在を忘れていたんだ…？”
昨日からずっと付き纏っているその疑問。時間感覚が狂っている事に気付いた時と同じ不安が俺を襲っていた。
やっぱり、この世界に長くいるから…？それに、主要人物の彼女を忘れる事なんてある、のか？
同じ問いと答えがぐるぐるとずっと俺の頭を占領している。さらには「この世界で死ねば元の世界で目覚めるんじゃないか」という仮説を立てるくらい不安になってしまった。
俺は、この後の二人の話を笑顔で聞けるのか？二人の幸せそうな空間に入っても、いいのか？
“疑問ばっかり…だな。”
やっと気持ちの三割くらいが落ち着いて冷静さが少し戻ってきた時
ｺﾝｺﾝｺﾝ
翠「亮平様、支度が整ったのでお迎えに上がりました。」
慎太郎さんが迎えに来てくださった。最近…彼の顔を見ることが多い気がする。ジェシーさんがいらっしゃったこともあるけど、それよりも多く。
会う度に思うけど、彼はいつも堅い表情を浮かべている。もちろん、この世界の“彼”がかなり真面目な性格なのは分かっているから不都合は何も無い。
ただ一つ気になるとすれば、海で見かけた時の彼の表情はもう少し砕けていた。心を許した相手しかいなかったから、というのも大きい理由だとは思うけど…
“多分、それだけじゃないんだろうな…。”
そう思ってしまう俺は、やはり彼女よりも綺麗ではないんだろう。
庭園に着くと、入口にはジェシーさんがいらっしゃった。
紅「亮平様、お待ちしておりました。ご案内致します。」
そう言って手を差し伸べられたけど俺は立てないし、車椅子で押してもらっているから道案内なんて本当は必要無い。
そんな俺に対しても礼儀正しい彼は、良い意味であの人とは別人のようだ。
けれど、目的地に近づくほど俺の心は不安でいっぱいになっていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 496人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Ju(プロフ) - 玖黎さん» SNSしておられたらフォローしたいな…と思っておりました、IDが載せられないのでやはりしておられなかったんですね（;;）キリンのように首を長くして待っていたので読者として私も安心です。主さんのペースで、頑張り過ぎないで下さい。また感想綴りにきます^^ (2021年6月9日 2時) (
レス) id: daebecd63d (このIDを非表示/違反報告)
玖黎(プロフ) - Juさん» ありがとうございます、そのお言葉がとても嬉しいです！SNSをやっていない為リアルタイムで皆様の感想を聞けない分、不安もありましたが無事完結させることが出来て私もほっとしております。この先も、応援していただけると嬉しいです！ (2021年6月8日 20時) (レス) id: 02deec9f9d (このIDを非表示/違反報告)
Ju(プロフ) - コメント失礼致します。完結おめでとうございます！mmabの中で唯一待ち続け、更新中に何度も読み返し更新されては直ぐに読む！を繰り返した作品なのでとても嬉しいです。本編終了後も未だ続くと聞いて興奮が冷めません、とっても楽しみにしています！ (2021年6月8日 18時) (レス) id: daebecd63d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：玖黎 | 作成日時：2021年2月7日 18時
