・ ページ3
お二人の姿が見えた…と思ったら、彼らは楽しそうに笑いあっていた。
俺は声が出ないから、ジェシーさんか慎太郎さんが声をかける必要がある。でも、二人はそれをすぐにしなかった。
当たり前…だよな。二人だって王子様と姫様が一緒になった方が嬉しいに決まってる。
白「あ、亮平さん！」
黒「亮平！」
姫様と王子様が俺に気付いた。お二人共、裏の無い笑顔で俺に近寄ってきた。その姿は本当に恋人そのもので、改めて俺はこの場に不釣り合いだと思った。
結局、今日は散々だった。でもそれは俺個人の問題で、周りから見ればおかしかった所なんて無いかもしれない。
姫様は気を遣っているわけじゃなくて、ただただ純粋に俺の事が気になっているようでかなり俺に話しかけてくださった。王子様も今までと変わった所は何も無かった。
“二人で話されればいいのに…。”
お二人がもう既に彼らだけの世界に入り込んでいたら、俺だってここまで悩むことはない。
なんで、俺をその明るい方へと招こうとするの？偽物は偽物らしく退場させてよ…。
そんな考えは最初は小さかったのに、時間が経つにつれて段々と大きくなり俺の頭のほとんどを支配した。
そうなれば、ろくに話の内容も頭に入らない。お二人に何かを問いかけられても、ワンテンポ反応が遅れてしまう。そんな状況だった。
最初は答えに迷っていると思っていたであろう王子様も、最終的には「もしかして具合が悪いですか？」と俺を心配なさった。
無理をさせてしまったのなら部屋まで送る、と言われそれはダメだと思いっ切り首を横に振った。
こんなくだらない事で、姫様と王子様の恋路を邪魔する訳にはいかない。出来るだけ自然に…悟られないように…この物語からいなくなるのが俺の役割。
白「今日はありがとうございました。今度は二人きりでもお話してみたいです。」
曇りのない瞳でそう言ってくださる彼女は、やっぱり俺にとっては眩し過ぎる存在だった。
せめて、もっと彼女の性格が悪かったりしたら簡単に嫌いになれたのに…。もっと裏表がある方だったら悩む事も無かったのに…。
彼女に近づくと、自分がどれだけ醜いのかを理解させられる。
でも、それが現実なんだ。今はこれから目を逸らしちゃいけないんだ。
それが、どんなに辛い事だとしても…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 496人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Ju(プロフ) - 玖黎さん» SNSしておられたらフォローしたいな…と思っておりました、IDが載せられないのでやはりしておられなかったんですね（;;）キリンのように首を長くして待っていたので読者として私も安心です。主さんのペースで、頑張り過ぎないで下さい。また感想綴りにきます^^ (2021年6月9日 2時) (
レス) id: daebecd63d (このIDを非表示/違反報告)
玖黎(プロフ) - Juさん» ありがとうございます、そのお言葉がとても嬉しいです！SNSをやっていない為リアルタイムで皆様の感想を聞けない分、不安もありましたが無事完結させることが出来て私もほっとしております。この先も、応援していただけると嬉しいです！ (2021年6月8日 20時) (レス) id: 02deec9f9d (このIDを非表示/違反報告)
Ju(プロフ) - コメント失礼致します。完結おめでとうございます！mmabの中で唯一待ち続け、更新中に何度も読み返し更新されては直ぐに読む！を繰り返した作品なのでとても嬉しいです。本編終了後も未だ続くと聞いて興奮が冷めません、とっても楽しみにしています！ (2021年6月8日 18時) (レス) id: daebecd63d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：玖黎 | 作成日時：2021年2月7日 18時
