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iw「あべ。」
「…んぅ？」
iw「起きれる？お粥できた。」
「起きる…食べる。」
ぽやぽやとした意識の中、照がお粥を持ってきてくれるのを待つ。部屋に広がった美味しそうな香りに、俺のお腹は急かすように再び鳴った。
iw「はい。味付けに心配はないと思う。」
「ありがと。」
一口食べると、優しい味が口いっぱいに広がった。さすが舘さん監修。…いや、照の腕もあるか。佐久間だったらもっと悲惨なことになりそうだ。
お粥を食べ終わった俺は完全に回復していた。それもそうだ、俺はずっと本の世界にいたんだから。原因としてはそっちの方がずっと大きい。
食器まで洗ってくれた照は、再び口酸っぱく「無理はするなよ」と言って帰っていった。
しばらく何も考えずにボーッとしていた俺は、ふと我に返った。…ある、かもしれない。
だってあれは、元は“本”なんだ。あの時、俺は確実に店で手に取って家に持ち帰ってきた。どこかに、あるはずなんだ。
ベッドの傍にはなかった。床にも落ちていなかった。本棚でさえ…入っていなかった。
諦めが滲み出そうになった時、突然俺の視線はある一点へと吸い込まれるように止まった。
「あ…った。」
勉強机にちょこんと置いてあったそれはなんの違和感も無く、部屋に溶け込んでいた。
見た目は普通の洋書。これが魔法の本だったと言っても、誰も信じてはくれないだろう。
パラパラっとページを捲ると、目に入ってきたのは俺が体験してきた『人魚姫』のオリジナルのストーリー。所々入っている水彩の挿絵が可愛らしい。
一番最後までたどり着くと、王子様からの告白の言葉と俺の返答に添えて
“こうして人魚姫は王子様と幸せになりましたとさ
HappyEND”
と書かれていた。
その時、俺の瞳から再び生暖かいものがポロッと零れ落ちた。でも、これは懺悔でも後悔でもない。
…“蓮”、本当にありがとう。貴方のことは絶対に忘れないから。
眠りにつくまでに何度も読み返した。その度に思い出が鮮明に蘇ってくる。この本は、俺の宝物。
幸せを噛み締めながら窓から外を見ると、満月の優しい光が俺を照らしていた。
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Ju(プロフ) - 玖黎さん» SNSしておられたらフォローしたいな…と思っておりました、IDが載せられないのでやはりしておられなかったんですね（;;）キリンのように首を長くして待っていたので読者として私も安心です。主さんのペースで、頑張り過ぎないで下さい。また感想綴りにきます^^ (2021年6月9日 2時) (
レス) id: daebecd63d (このIDを非表示/違反報告)
玖黎(プロフ) - Juさん» ありがとうございます、そのお言葉がとても嬉しいです！SNSをやっていない為リアルタイムで皆様の感想を聞けない分、不安もありましたが無事完結させることが出来て私もほっとしております。この先も、応援していただけると嬉しいです！ (2021年6月8日 20時) (レス) id: 02deec9f9d (このIDを非表示/違反報告)
Ju(プロフ) - コメント失礼致します。完結おめでとうございます！mmabの中で唯一待ち続け、更新中に何度も読み返し更新されては直ぐに読む！を繰り返した作品なのでとても嬉しいです。本編終了後も未だ続くと聞いて興奮が冷めません、とっても楽しみにしています！ (2021年6月8日 18時) (レス) id: daebecd63d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玖黎 | 作成日時：2021年2月7日 18時
