政略結婚とはいえ、許嫁の私より妹を優先するのですか？【d!】

5話 ページ6

『それで、ご用件は。』

「アイリスが、お前に陰口言われたって俺の部屋まで泣きながら来たんや。」

『…………………はぁ？』





何故、この人達はアイリスのことになるとここまで盲目になるのだろうか。

私が言ったって証拠も、ないのに。

というか、そんなことで呼んだのか。私の食事の時間と天秤に吊るしたら、すぐ分かることだろう。

………まあ今の彼に言っても通じないか。





『…………………何故でしょう』

「？なにがや」




特命全権大使ことこの国の外交官である彼、オスマン。

彼は世界でも珍しい目を持っている。俗にいう、覚り(さとり)というやつだ。

普段目を開けない理由は相手の心を読まないため。必要なときや怒ったときは目を開くようだが…

どうやら彼の目はなまくらのようだ。








心を読もうとしないのか、読めないのか分からないが、何故アイリスの心情がわからないのだろう。






『………………何でもありませんわ。用件は済みましたか？』

オス「は？いや……済んだけど、他になにか言うことあるんやろ。」

『貴方に言ったところで、彼女に伝わるんですかね。』

オス「……ホンマ嫌(や)な女」





なんとでも言え。

私は絶対謝らない。本当に自身が悪い時だけ謝れと言ったのはグルッペン様だ。

……まぁ昔の話だが。





『…………それより、大丈夫ですか？準備しなくて。アイリス様、今日は婚約者様とご面会なのでしょう。』

オス「うわっ忘れとった！ﾁｯ…………それじゃあこの話は後な」

『いってらっしゃいませ。』

オス「あ、後…………これで借り作ったと思うなや。」

『……………………。』






そういうと、オスマンさんは足早に去ってしまった。

借り………ね。いや、早くどこか行って欲しかったから言っただけなのですけど。







『……朝食、どうしようか…。もう片付けられてるよね…』





食堂に行く必要がないなら、どうしようか。

……………部屋に籠りましょうかね。昼食と夜食以外は

アイリスの婚約者に出会っても面倒だし、グルッペン様に会っても面倒だし。

6話→←4話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す