俺だけ。 (ページ23)

今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:9,307 hit

・ページ23

有岡side

『あー、もう、なんでこんなとこ付けんだよあいつ、、』

光くんがメイクさんに借りたのか

コンシーラーとファンデーションで卓上の鏡を見ながら

首元や胸元の何ヶ所かをパタパタしている。

あぁ、昨日やっぱりそうだったのか、

今日は俺と光くんのレギュラー番組の日。

相変わらず光くんは来るのが早くて

俺が来た時には、もう鏡と睨めっこをしていた。

有「いつまでやってんの笑」

『だって消えないんだもん、、』

昨日は４人で飲みに行って

店の中で俺はずっと光くんの隣でいられて沢山２人で話せて

本当に幸せだった。

薮ちゃんの視線は痛かったけど

薮ちゃんより有利な立場にいることが

薮ちゃんに勝ててるって思えて嬉しかった。

でも

店の外に出た瞬間、光くんの隣は薮ちゃんになっていて、

「俺ちょっと飲み足りないなぁぁひかるぅ」

なんて可愛い口調で言った薮ちゃんに

光くんは笑いながら『じゃあ、俺ん家で飲む？』なんて

言っちゃってさ。

薮ちゃんも薮ちゃんで

「光ん家いくっ」ってちょー即答だったし。

薮ちゃんのそんな所を

光くんは愛おしそうに笑いながら見ていて

俺は胸が苦しかった。

『じゃ、また明日な！大ちゃん！』

有「あ、うん！おやすみー！」

タクシーでこの場を後にした２人に手を振りながら

辛い気持ちを抑える。

伊「じゃあ、俺たちも帰ろっか」

有「うん、」

俺達も一緒にタクシーに乗って家に帰った。

だから、今光くんが頑張って隠してるものも

昨日２人の間にあったことも言われなくても分かる。

『どう！？これで見えなくない！？』

嬉しそうに顔を上げたひか。

所々白いけどテレビじゃ分からないぐらいだろう。

有「いいじゃん、いいじゃん」

俺の返事に『よっしゃっ！』って

小さくガッツポーズする光くん。

メイクさんに返しに楽屋を出て行って

戻ってきたひかは、早速Ｗｅｂの動画を撮るために

スマホを立てかけて、俺を手招きする。

『光のー！』

恒例の挨拶から始まってお互い話しながら動画を回して

一発で終わらす。

動画を撮り終わった後は

文章を打ってマネージャーさんに送る。

その光景を俺はスマホをいじりながらチラチラ見る。

そして、心の中で

好きだなぁって感じる。

ただのルーティーンだけど

光くんの表情はいつも楽しそうで

見てるこっちが幸せになる。

ねぇ。光くん、俺、そろそろ限界だよ。