80話 ページ37
斑鬼turn
｢どうしたの、轟くん｣
私はドアノブに触れようとした手を引っ込め、轟くんに向き合う。
｢俺は、一度戦闘訓練でおまえに負けてる｣
突如轟くんの言ったそれは、入学したての頃に行った戦闘訓練だろう。そこまで根に持ってたとは思わなかった。
｢だけど、俺は
轟くんはギロリと私を睨む。
｢おまえにも勝つぞ｣
そして緑谷くんと同じように、私にも宣戦布告をした。
普通の人が見たら相当怖いだろう。身長が高い者に近距離で睨まれているのだから。まぁ、私はそんなもので怖がりはしない。
｢じゃあ、私は君に勝とうかな｣
｢……俺に勝つ？｣
轟くんは目を鋭くさせ、眉間に皺を寄せる。
｢そう、君が何を思って私に宣戦布告したか、どうしてそこまで強さに執着するかは知らないけど、そこまで言うなら答えなきゃね。
まぁ｣
私は目を細め、轟くんを指差す。
｢やれるものならやってみなよ。
憎しみを持った瞳じゃ私には勝てない｣
｢……｣
私は手を下ろし、扉へと向く。
｢それじゃお互い頑張ろうね｣
そしてドアノブを回し、扉を開いた。
｢あと一つ。
君、そのまま囚われてたら駄目だよ｣
｢ッ待て！！｣
私が扉を開け出ていく直前、轟くんはハッと驚いた顔をして私を呼び止める。だが、私はその声を無視して扉を閉め、皆が集まる廊下へと向かった。
何カッコつけてんだろ私、恥ずかしいなぁ。
はたから見たら中ニ病だよ。
「あ、Aちゃん遅いよ！！
こっちこっち！」
「ごめんね麗日ちゃん、ありがとう」
｢……憎しみを持った、瞳……｣
『君、そのまま囚われてたら駄目だよ』
｢囚われた……まま｣
彼は一人、自身の手を握り締めたまま、
震えた声で言葉を呟く。
･
81話 駆け上がれ蹴落として→←79話 宣戦布告と憎しみの瞳
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夢桜(プロフ) - †NANA†さん» 誤字指摘ありがとうございます！partに問わず時間を割いてくださり感謝です。修正が完了しましたので、どうかこれからもご愛読お願い致します！ (2021年11月30日 22時) (
レス) id: 505f8e7c76 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - 81話で、「登場時」が「搭乗時」になっています。 (2021年11月30日 21時) (レス) @page38 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - 79話で、「敵わない」が「叶わない」になっています。 (2021年11月30日 21時) (レス) @page36 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - 62話で、「元凶」が「現況」になっています。 (2021年11月30日 20時) (レス) @page19 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - 61話で、「美談になるんだ」が「美談にになるんだ」になっています。 (2021年11月30日 20時) (レス) @page18 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢桜 | 作成日時：2020年1月3日 22時
