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「云業死んだや、可哀想に」
「可哀想だなんて思っちゃいねェだろ」
「私がそんな人手なしに見える?」
「あぁ、見えるさ。顔と言葉が一致してねェからな」
鳳仙との会談が終わり、神威たちは吉原の客室にいた。阿伏兎は無くなった自分の腕に包帯を巻き、Aは興味なさげに番傘の手入れをしている。仲間が死んだというのに。人手なしも思われても仕方がないだろ。
「けど彼処の馬鹿よりマシだろ。アイツ、鳳仙の旦那と闘りたいだけに今回の商談に来たんだから」
「へへ」
「へへ。じゃねえよ!可愛こぶっても許さねぇからなぁ!」
Aは怒号する。こればかりは神威を庇いきれない。神威が暴れなきゃ取引も成功したかもしれない。何なら駆け引きに使う道具が騒ぎの最中に逃げられてしまった。最強と謳われる第七師団がだ。他の師団に見せる顔がない。
「取引して帰るはずだったのに」
「駆け引きなんて必要ないよ。吉原が欲しいなら鳳仙の旦那を殺して
「アホか。あの化物ジジイにそう簡単に勝てるか。止めなきゃヤバかったぜ。大体俺達のせいで春雨と夜王で戦争を始めることになれば、
うんうんとAは阿伏兎の言葉に頷く。
夜王の恐ろしさは春雨が一番理解している。夜兎の中でも圧倒的の強さ。例え第七師団全員で鳳仙を相手をしたとしても勝算はない。だが、神威は呆気らんと答えた。
「その時は……俺が
Aと阿伏兎は顔を合わせて白けた表情をする。阿伏兎は「で、その後あなた様は海賊王にもなられるんですか?」と皮肉交じりに訊くと、「それもいいかもね。上にいけばそれだけ強い奴にも出会える」と返す。
呆れた。二人はただのその一言しか出なかった。阿伏兎とAは立ち上がって客室から出ようする。
「どこ行くんだよ阿伏兎、A。もう帰ろうよ。つまんないよ。こんなところ」
「帰れ帰れ。怖いじーさんに殺される前に」
「そーだそーだ。こんな所で鳳仙の旦那に、」
「俺一人だと暇なんだけど」
トンっと軽く飛んで神威はAを捕まえた。Aは「ぐぇ!」と蛙が踏み潰された声を出す。団長の相手はAに任せるか、と阿伏兎は先に客室から出て行ったのだ。
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ますしん - 更新お待ちしています (9月4日 14時) (レス) id: 330bdb2da9 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 神威オチがいいです (5月23日 7時) (レス) @page24 id: 5a2153f7ba (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - こんばんは^_^楽しく読ませて頂いてます。沖田くん落ちが好ましいですが、沖田くんピュアなの好き! (2023年3月4日 20時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
ミワ(プロフ) - かっちさん» コメントありがとうございます。今作品の夢主を気に入っていただき、ありがとうございます!夢主の投稿を是非載せてください! (2023年2月28日 23時) (レス) id: 07a3cb3a6c (このIDを非表示/違反報告)
かっち(プロフ) - この作品の少し大人な感じがリアルで惹かれました。そしてこの夢主ちゃんを描いてしまいました…。私のイラストを更新する作品にそれを出したいのです。それから、この作品の夢主ちゃん描きましたよ、とこちらのURLを貼りたいのですが、よろしいですか? (2023年2月23日 21時) (レス) id: 1b6cbbdaba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミワ | 作成日時:2022年11月16日 23時