苦労人の夜兎が二匹 ページ3
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騒がしい食堂内にAは一人飯を片手に書類を片付けていた。今にも人一人殺しそうな目だ。自分たちが起こした始末書類は大抵はAが上と話をして場を納めてくれている。Aがいなければ回らない仕事は過去に何件あったことやら。出来る限りAの気を立てないように、団員たちは早く飯済ませてその場を立ち去ろうとする。
「朝から団長とは楽しかったか?」
そんな中、副団長の阿伏兎がAの隣に座る。Aは横目で睨みながら「楽しくなんかない」とバッサリ切り捨てた。
「あの時間で何枚の始末書片付けられたと思ってんの」
「おま……。せめて最中ぐらいは仕事のこと忘れろよ。団長が可哀想だぜ」
「ンなもん知らない。こちとらあの馬鹿団長のせいで!上にめっちゃ目つけられてんだよ!」
怒声をあげるA。思った以上にどうやらご立腹らしい。どうどうと馬を宥めるように阿伏兎はAを落ち着かせようとする。
「何そんなに怒ってんの?」
噂をすれば何とやら。お盆の上に大量のご飯を乗せた神威が二人の前に座る。
「アンタが暴れすぎたせいで、うちの請求額凄いんだとよ」
「じゃあ今回の鳳仙の旦那片付けたら、上はチャラにしてくれるでしょ」
大きな口を開いて神威は食事を始める。神威の言葉に私と阿伏兎は同じ思いがあったのか、顔を合わせてから神にでも頼むように拝んだ。
「お願いだから私たちができる範囲にしてください」
「神さま、仏様、団長様。俺たち下々の気持ちを汲んで行動を起こしてくれよ」
「なに、お前ら。俺を馬鹿にしてんの?」
「馬鹿になんてそんな!ただね、私らは鳳仙の旦那とは平和的に終わらしたいから神威団長が大人しかったら嬉しいなぁって。ねー、阿伏兎」
「おう。何もしなきゃ鳳仙の旦那も動かねぇ。だから団長、変な気は起こすなよ」
二人は必死だった。この後に会う元春雨第七師団の前師団長であり創設者の鳳仙。神威は師弟関係でもあった二人なので何か起きないはずがない。願望を言えば、平和的に話し合いして終わりにしたい。
そう願いながら二人は神威に何度も言うが、鬱陶しく感じてきた神威が「Aと一発でいいよ」なんてとんでもない事言うので、Aは神威の頭ぶん殴って黙らせた。
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ますしん - 更新お待ちしています (9月4日 14時) (レス) id: 330bdb2da9 (このIDを非表示/違反報告)
零 - 神威オチがいいです (5月23日 7時) (レス) @page24 id: 5a2153f7ba (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - こんばんは^_^楽しく読ませて頂いてます。沖田くん落ちが好ましいですが、沖田くんピュアなの好き! (2023年3月4日 20時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
ミワ(プロフ) - かっちさん» コメントありがとうございます。今作品の夢主を気に入っていただき、ありがとうございます!夢主の投稿を是非載せてください! (2023年2月28日 23時) (レス) id: 07a3cb3a6c (このIDを非表示/違反報告)
かっち(プロフ) - この作品の少し大人な感じがリアルで惹かれました。そしてこの夢主ちゃんを描いてしまいました…。私のイラストを更新する作品にそれを出したいのです。それから、この作品の夢主ちゃん描きましたよ、とこちらのURLを貼りたいのですが、よろしいですか? (2023年2月23日 21時) (レス) id: 1b6cbbdaba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミワ | 作成日時:2022年11月16日 23時