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ボーダーのラウンジ内で太刀川は蓮月から遠征での戦術の教わっている時に、蓮月は太刀川に訊いた。
「太刀川さんって彼女いたことあります?」
「……俺の事好きなの?」
「話聞いてました?」
「冗談だって。まぁ、付き合った奴は2人はいた」
太刀川は指を2本立てる。蓮月は「どんな人でした?」と訊くと、「聞いても面白い話なんて一つもないからな」と太刀川は半笑いで話をした。
「1人目は中学の時同じ委員のやつ。けど高校違うからって事で別れた。んで、2人目は同じクラスのやつは俺が構ってくれないからって理由で別れた」
「はぁー。最後は想像つきます」
太刀川がボーダーに入ってから、学校以外は殆どランク戦にいる。そのせいか元より悪かった成績が更に下がり、大学の推薦も危うくなって鬼の形相で忍田に怒られていたのは蓮月の記憶に新しくあった。
「太刀川さんってどうやって彼女を愛したの?」
「A。お前、勉強より難しいこと聞くなよ」
「勉強より難しいですか?」
「おう。すっげぇ難しい」
「ふぅーん。で、どう愛したんですか?」
「俺の話聞いてた?」
興味があった。太刀川は好きな人を、人をどう愛していたのか。純粋な子どもの好奇心に似たようなものだ。
珍しくも好奇の目の蓮月に太刀川は「あー。うーん」と声を唸らせる。あっ、とポンッと手を打って太刀川は答えた。
「可愛いかったら可愛いとか。好きだなって思ったら好きって言ってた」
「うん?」
「それだけで好きって気持ちは伝わんだろ」
蓮月は呆れて声も出なかった。太刀川らしいっちゃ太刀川らしいが、それだけでいいのか。そんなもので愛ってのは伝わるのか。そんな蓮月に太刀川は頬杖つきながら言う。
「愛に飢えてんなら俺が愛してやろうか?」
目を真ん丸くさせる。太刀川からそんな事を言われるとは予想外。ニヤけた面の太刀川に蓮月は「ふむ」と腕を組んで悩む。
「確かに愛してくれるなら太刀川さんでも良いなぁ」
「お。お前がそう言うとは思わなかった」
「前の私ならね。けど今の私はペットなの」
蓮月の言葉に太刀川は意味が分からず首を傾げていると、「やぁ」と聞き覚えのある声がした。振り返ると迅がいた。
「何の話してるのお二人さん」
迅は蓮月の隣に座る。ただ隣に座るだけならいい。迅は太刀川を警戒するように鋭い目つきで見つめ、蓮月を自分の方へ肩を引き寄せる。
なーるほどな、と太刀川は呆れた笑みだ。
「愛についてだよ」
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ミー(プロフ) - 面白かったです!更新楽しみにしてます! (2022年12月17日 22時) (レス) @page33 id: a2f01b8bd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミワ | 作成日時:2022年10月24日 22時