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地獄の入り口 ページ2






少女の目は何処かで見たことある目だった。
希望をもたない暗くて澱んだその目に最上は息を呑む。黙ったまま少女は最上を見つめたあと、「オジさん。早く逃げなきゃ危ないよ」と。

大きな黒い(ゲート)が開く。トリオン兵が現れた。嘘だろ、と最上はトリガーを起動させた。トリオン兵が少女を踏みつけようとするが、最上が少女を抱えて避ける。そしてトリオン兵の核を孤月で穿った。


「オジさんやっぱり凄いね。あんな怪物倒せるなんて」


その口ぶりはまるで最上がトリオン兵を倒すことが視えていたようだった。まさかこの少女も視えているのか?


「うん。私が小さい頃から視えてる。私も怪物だから」


最上の心の中を読んだのか。少女は最上が訊きたいことまで答えた。違う、こいつはアイツよりも上の次元だ。


「嬢ちゃん。名前は何て言う?」
「蓮月Aだよ、最上さん」
「はは。俺の名前まで知ってたか。なぁ、蓮月。お前、ボーダーに来ないか?」


それが最上と蓮月の出会いだった。
この出会いが蓮月にとって地獄の入り口でもあったなんて知りもしない。




▼▽▼



ボーダーに入ってからといって特に蓮月の生活に変化はなかった。両親に罵倒や無視をされて、兄からは暴力を振られ、学校では一線を引かれる。何も変わりもしない。


「よ、蓮月」


ただ一人。蓮月を見かけたら声を掛ける大人は増えた。蓮月にとって珍しい人。


「最上さんこんにちは」
「相変わらず礼儀正しいなァ」
「これぐらい普通ですよ」


では、と家に帰ろうとすれば「茶でも飲みに来いよ」と最上は蓮月を無理やり玉狛支部まで連れた。玉狛には沢山の大人がいる。最初来た時は蓮月も物怖じて最上の背中に隠れた。だが、それも今では慣れて皆に挨拶を交わしている。


「あー!A!」


そんな大人だらけの玉狛にも蓮月と同い年の少女__小南がいた。小南は気さくに蓮月と話しかける。そんな小南に圧倒されてか、蓮月は小南と仲良くなるのにそんな時間はかからなかった。

小南に引っ張られながら広間に行くと、青ジャージを着た少年__迅が蓮月に手を振る。迅は蓮月よりも2個上で何かと蓮月に目をかけて話しかけてくれた。蓮月は迅が少し苦手だった。彼は周りの大人と同じく自分に向けて同情するような感情を向けてくるから。

社交的で笑顔に溢れた可愛らしい少女→←Prolog



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設定タグ:ワールドトリガー   
作品ジャンル:アニメ
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ミー(プロフ) - 面白かったです!更新楽しみにしてます! (2022年12月17日 22時) (レス) @page33 id: a2f01b8bd9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミワ | 作成日時:2022年10月24日 22時

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