【WT】硝子の靴は捨てた (ページ1)

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Prolog ページ1

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荘園みたいに大きな家と誰もが羨むような家族。その家に少女は次女として産まれた。産まれたばかりの少女は両親に愛されていた。だが、それも少女が6歳までの話。

少女は小学校受験に失敗したのだ。そこで少女は家族から不出来な娘と認定される。まだ幼い少女にとって急な両親の冷たな態度に戸惑うばかり。何度も少女は話しかけるも無視はされ、テストで100点を取っても「当たり前だ」の一言で片付けられる。

少女には2個上の兄がいた。その兄は少女が失敗した小学校に合格し、学内でもトップの成績を収めていた。兄だけが両親に愛されていた。

ある日、少女はテストで90点を取ってしまった。ただそれだけ。その日は両親から罵倒された。そして兄からは暴力を振られた。テストで悪かっただけでこの仕打ちだ。普通ならば有り得ない話だが、少女の家庭では完璧である事が普通のことなので一般の常識が通らない。

少女は日々何か(･･)に怯えて生きていたのだ。

冷たくする両親？違う。自分をここまで育ててくれる両親に何を怯えることがある。間違ったことも一つも言っていない。私が出来ていないのが悪い。

暴力を振るう兄？それも違う。兄は偉大な人だ。私なんかと違って頭も良い。ただ教え方が不器用なだけ。私がもっと理解力あれば良かっただけ。

理解らなかった。
自分は今何に怯えているのかなんて。

___未来を視た。

それは兄が家の階段から落ちて怪我をする未来だ。
その未来は本当に起きた。兄が家の階段から落ちてしまい怪我を負った。

___未来を見た。

同級生の子が図画工作の時間中、自分の手に彫刻刀を刺し間違える未来。そしてその未来も本当に起きた。

「なに、これ……」

少女の目には色々なものが映った。その度に少女は浮遊感に襲われる。気持ち悪いという感情が少女を覆った。