大悪魔召喚 ページ3
彼との出会いは、私の人生を大きく変えた。
大図書館から帰宅すると、私は二枚目のメモに記載されていた材料を集めることにした。
材料は二つ。雨蛙の血液と金属製の高価なもの。
雨蛙の血液はともかく、金属製の高価なものとは何なのか。曖昧な表現に疑問を持つが、特に気にする必要はないと判断し、材料集めに専念した。
数日かけて、郊外の森で雨蛙の血液を採取し、両親が10歳の誕生日にくれた羽を模したイヤリングを用意する。
あとは人目につかない開けた場所に、赤いチョークで魔法陣を描くだけだ。
適当な廃ビルの屋上へ忍び込み、私は作業を始めた。
おそらくこれは大悪魔の召喚にあたるのだろうが、想像していたよりも準備の難易度が低い。こんなことで本当に、私の願いは叶うのだろうか。一抹の不安を抱えながら、出来上がった魔法陣の中心に立つ。
一度深呼吸をして、目を瞑る。
禁忌を犯すことを実感し、思わず手が震える。
だがしかし、決めたのだ。
私は、何を犠牲にしてでも、この願いを、欲望を、実現してみせると。
意を決し、小瓶の蓋を開け、魔法陣にその血液を垂らした。
「大悪魔ハインリヒ。召喚の儀に応じ参上した。余の契約者は貴様か？」
蛙だ。二足歩行の雨蛙だ。
材料を見た時に、なんとなく予想はしていたが、想像以上に蛙だった。
ハインリヒと名乗った蛙改め大悪魔は、二足歩行の雨蛙が金色の王冠と上質なマントを着けているという珍妙な姿をしていた。体のサイズは通常の雨蛙より大きいが、私の膝と同じくらいの高さだ。
仮にも大悪魔に対してどうかと思うのだが、些かフォルムが可愛過ぎるのではないだろうか。
「む。余を無視とは貴様なかなかに肝が据わっているな。気に入ったぞ。」
「え、ありがとうございます…？」
「うむ。素直なのは良いことだ。ますます気に入った。此度の契約者は良識あるようで大変よろしい。」
状況理解をする時間は与えてくれないようだ。ご機嫌な大悪魔は、何度も満足げに頷いている。前回の契約者とやらに苦労させられたのであろう。
「して、契約者よ。名はなんという？」
「…A・フローレンスです。」
「良い名だな。更に気に入った。では、早速問おう。
A・フローレンス。貴様はこの大悪魔ハインリヒに何を願う？」
何を願うか。そんなこと、とっくの昔に決まっている。
「ハインリヒ。どうか…どうか私に、自由に空を飛ぶ為の翼を下さい。」
大悪魔よ。どうか、私の願いを叶えてくれ。
今日の被ノエキャラ
てんちょー
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あじしお(プロフ) - スイさん» コメントありがとうございます！面白いだなんて、大変恐縮です…！スイさんの応援を糧に今後も精進します！ (2020年8月10日 19時) (
レス) id: 8471a2596e (このIDを非表示/違反報告)
スイ - 面白かったです！続き待ってます！更新頑張ってください！ (2020年8月10日 15時) (レス) id: da4fd86884 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あじしお | 作成日時：2020年2月16日 1時
