やさぐれ姉さん。3【SVT】 (ページ7)

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伝えたいこと（WN）ページ7

WNside

「あぁ、また間違えた。」

クシャリ

そんな音が鳴り響くかのような勢いで、ミスをした紙を丸める。

文法自体は韓国語とあまり変わらないところが日本語のありがたいところだ。

でも所詮、文法のみ。

敬語や喋り言葉に漢字の読みの多さ。

指示語の意味。

あまりの多さに頭が痛くなってくる。

「くそっ、難しすぎるんだよ。」

思わず頭をガリガリ搔く。

気分転換に、と思い部屋を出てリビングへ向かうと玄関が何やらザワザワしているではないか。

何だ？

ひょいと顔を覗かせると、そこにはミョンホとスニョンとジュニが居た。

珍しい組み合わせだなと思いつつチャンはどうした…？という疑問も浮かんで来る。

するとジュニが｢あ、ウォヌ｣と俺に手を振ってきた。

スニョアも｢よっ｣と手を上げてくる。

「外に飯か？」

「そんなとこ。ウォヌは何してんだ？」

ここで素直に日本語の勉強と言えればいいものを、

大して上手くもなってないからと見栄を張ってしまう。

そんな自分が笑えてくるなと思いつつ、ラップの歌詞練ってたと嘘をついた。

「ふーん…？」

「なんだよ。」

「べっつにー。」

素直に言えばいいのにとニヤニヤするスニョアを肘で小突きながらそういえばと続ける。

「チャンは？」

「えっ、何で？」

ジュニが不思議そうな顔をするから思わず俺もえっ？と声を出した。

するとミョンホが

「練習室に行ったらスニョニヒョンに怒られて、その流れでご飯に行くからチャニは居ないんだよ。」

そう説明してくれる。

その横で｢ああ、そういうことか～｣と間延びした声で話すジュニ。

「じゃあ俺から説明しとくわ。」

「ウォヌが説明したら100%事実無根な事を織り交ぜて言われるから黙ってて。」

帰ってきたら俺が説明するから、スニョンにそう止められたのを喉の奥でクククと笑いながら分かったよと言う。

「じゃ、行ってくるねウォヌヒョン。」

「行ってきま～す。」

「おう、いってら。」

先に出ていくチャイナ組を見送り手を振る。

しかしそばに居るスニョアはなかなか出ていこうとしない。

「…行かねぇの？」

「行くよ。なぁウォヌ。」

「ん？何だ？」

「…もしもだけど、さ。もしもだよ。」

「？おう。」

「……会えると思うか？」

誰とは言わなくても、スニョンが指している人物は誰か分かった。

少なくとも俺はその人に伝えたい事があるから日本語を勉強している訳だし。

「会えるさ。」

そう願ってればな。