【SVT】職業、天才。【男主】

天才、放送を終える。 ページ5

「だあっ…緊張した…。」


放送と配信が終わった。

たった五分程度だけれど俺には一時間のようにも感じられた。

そのまま座り込みたかったが衣装を汚してはいけないという一抹の良心から、膝に手を付き浅い呼吸を繰り返す。

確かに何度も練習したから、完璧とは言えないけれど練習通りのものは出せただろう。

あまりの緊張とプレッシャーに終わった後の俺の膝は始まる前よりもガクガクブルブルと笑う所じゃない。

これじゃあ膝が大爆笑だ、としょうもないことを考える。


「お疲れ様。」

「うっす、まじほんと……緊張で死ぬかと思った…。」

「ステージ上の君は本当に王様みたいで、ジェノサイド感すらあったのにねぇ。」


本物の冷酷な王様の様だったのに、終わってしまえば君は本当にただの若者だね。と笑われるから当たり前だと反論する。

あくまでも俺は一般人で大学生。

それがまさかこんな風になると誰が想像した？

友人に聞いてみろ、ゲラゲラ笑われるぞと社長を見ていると着替えておいでと言われる。


「着替えたいのは山々なんですけど…ちょっと膝ガクガクしすぎて上手く歩けないって言うか…。」


歩き出すと社長は足の悪いお婆ちゃんみたいだね！なんてゲラゲラ笑い出すから手伝えよと一睨みする。

大袈裟に肩を上げ怖いとおちょくってくる社長にイラッとした俺悪くない。

社長の肩を借りて更衣室に向かい着替えてる時だ。


「これで事務所は暫く安泰…仕事もきっとどんどん入るだろうし、近々1stシングル作ろうか！」


地獄みたいなことを社長が笑顔で言ってくる物だから思わず


「過労死させる気か！」


と突っ込んでしまった。

桐崎Aはしがない大学生なんだから、学業があるんだよ学業が。

そう反論すると目をぱちくりとさせる社長。


「え…休学しないの？」

「は？」

「いや行ってもいいけど、今日の放送後に大学行って大丈夫かな〜…って。」

「？今日の放送見てる俺のファンとかそうそう居ねぇだろ。」


大体が曲を聞きに来てるだけなんだから、と笑うとそうかなぁ…？と苦笑いを返される。

俺は行くぞ大学に！と言い放ってお疲れ様でしたー！と先にスタジオを出る。

そう。

先に出てしまったおかげで社長の一言に気が付かなかったんだ。


「各国の生配信サイトの全合計視聴数ですら500万を優に越えて、テレビの生放送枠もあの短時間で視聴率8%を記録したのに早々居ない、かぁ…。」


大型新人が入ったものだ、と嬉しそうに社長は笑った。

天才、シングルを出す。→←天才、世界に羽ばたく。

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