拝啓、親愛なる君へ ページ7
拝啓、親愛なる君へ
暖かい日差しが心地良い季節となってきたね。
君は元気だろうか?
急な手紙を、君に期待をさせてしまうこと、そんな罪深い俺をどうか許して欲しい。
そして俺が返事を書くのはこの一度だけだと思って、どうかこの手紙に目を通して欲しい。
Aに別れを告げた日、俺は本家の方に養子として出されたんだ。
そしてそのまま本家の言う通り結婚をし、子供にも恵まれたよ。
君からの手紙は毎日しっかり読んでいる。
そして、そんな君からの手紙を心から待っている。
君からの手紙を愛おしく思っているんだ。
結婚しても尚君を想い続けてしまう俺を、君は最低だと嗤うかな?
それとも君は、受け入れてくれるのかな?
嗚呼、君の事だから悲しみながらも俺の隣にいてくれるのだろう。
きっと「それでも私は」なんて言って、俺の傍に居てくれるんだろう。
だから、書いておくよ。
俺は君が好きだった。
今も。
だけれど結ばれることも、今後会えることもない。
大好きだよ、A。
愛してるからこそ、もう手紙のやり取りは辞めにしよう。
これは俺への戒めなんだ。
君を騙し妻を騙した俺の。
愛していた、愛していたよA。
ありがとう、そしてさようなら。
願わくば未来で、君とまた。
親愛なる君。
敬具 赤葦京治
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「この手紙を出す途中で事故に遭い、亡くなったって聞いてるわ。
我が家において置いても意味もないから、せめてふたりが安らかに眠れるように…と思って。」
「ありがとう………ございます。」
「いいえ、こちらこそ。それじゃあさようなら。」
「さようなら。」
婆ちゃん、俺は婆ちゃん見たく強く優しくそして、一途に、純粋に人を想えるようになりたい
そして婆ちゃんの愛した京冶さんみたく、優しく逞しい人になりたい
素直にそう思った。
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作者名:恋@眼鏡 | 作者ホームページ:http://sukinaharahasakuradeui
作成日時:2017年9月28日 0時