彼が現れた理由 ページ9
全くわからない。
なんで宏が、車椅子で、仕事の打ち合わせに来た私の目の前に座っているのだろうか。
居ても立っても居られなくて彼に聞こうとした。
「ねぇ、」
『ごめん』
「え?」
『ずっと連絡してなくて』
「あぁ、うん。」
『待ってた…?』
「別に、」
『そっか笑 俺さ、大学スポーツ推薦で入ってすぐ事故にあってこんなんなって、記憶もよくバーって飛んじゃうんだよね笑』
『んで、選手としても使えないし、勉強もイマイチだったから大学やめて他のとこ受けなおした』
「そう、だったんだ、」
『でもこんな体だしなかなか就職雇ってもらえなくてさぁ、、カメラマンになった笑』
待って、追いつかない。
連絡がつかなくなって、私が彼を忘れようと努力していた時に、彼はずっと苦しんでたんだ…。
『なんか嬉しいわ、一緒に仕事できるなんてな笑』
そう言って彼は笑ったけど、今何を思ってるんだろう。
『ほら、コーヒーもきたし、ちゃんと仕事の打ち合わせしてくれよ、担当さん笑』
「あっ、ごめんなさ…」
『俺とはタメで、な?笑』
「あ、うん。わかった、」
それから簡単に打ち合わせをした。
『じゃあ、一緒に旅行できんの?!』
「いや、そうだけど…」
『ハハッ、心配すんな笑 俺こんなんだけど』
お店から出た時はもう外は暗くなっていた。
「じゃあ、ここで」
『お、じゃあまたな笑』
「うん、」
そう言ってお互い分かれようとした時だった。
宏が『A』と私を呼び止めた。
「ん?」
『俺を好きになったこと、忘れろよ?笑』
そう笑い言い放って彼はまた車輪を動かして帰った。
そっか…。
もう私たち仕事上での関係でしかないんだ。
宏も私のこときっと忘れてたよね…。
ぼーっと彼の背中を見送っていたら太輔から電話が来た。
〈あ、もしもし今どこ?〉
「えーっと、会社の近くのカフェ出たとこ…だけど」
〈じゃあそこから近いとこのレストラン送るから来れる?〉
「うん、すぐに行くね」
電話を切って、私は駅前のレストランに向かった。
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作者名:ユナ | 作成日時:2019年12月10日 10時