【 wrwrd! 】俺の兄貴は実況者【男主】 (ページ30)

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│ kn side ページ30

今日遊ぼうと思ってAに電話をかければ、電話の向こうで大泣き。
急すぎて焦りすぎて…家まで行った。
玄関の扉は開いていて、今回だけ無断で中に入った

『…俺の兄貴は…どこに行ったんですか…』

一言目がこれで心底驚いた
…お前の兄貴は目の前におるやんけ、って思ったりもした

「どんな兄貴や？」

聞いてみればすぐに答えた

『…かっこええ人、コネさんみたいな声の…かっこええ兄貴…』

…俺みたいな、とか言うなら…俺やん？
なぁ。

「…夢でも見たんけ？」

『夢、夢見たから…声も覚えてて…せやけど…電話の向こうの兄貴が居らんくて…』

Aはかなり混乱してるようだった
自分でも頭にハテナを浮かべてるのが見えたから

『…俺の兄貴…どこに行ったん…ですかね…』

目が真っ赤のAは俺を見ては悲しそうな顔でそう言ってきた。

「…どんなことがあって、今こうなってんのか…教えてくれへんか…？」

『…コネさんと約束した…昔のこと話せばええんですか…？』

「おん、それでええよ。
誰にも言ったりせぇへん」

『…や、くそく』

そう言って震える手を出してきたA
小指を立てて。

俺もそれに合わせ、小指で相手の小指をぎゅっと握りまた約束を交わす

するり、と手を離せば体制を変え、それでも俯いたままぽつぽつと話し始めた

＿＿＿＿＿＿

＿＿＿

＿＿俺の兄貴…ちょっとしか覚えてないんですけど、しっかりしててかっこよかったです

2個上で、俺と同じ金髪で。
…でも、俺みたいに肌はあまり焼けてなくて

兄貴の周りにはたくさんの人がいた。
まだ保育園児だった俺も混ぜてみんなで遊んでくれた

バレー、バスケ、サッカー、野球

沢山した。それは本当に覚えてます

でも、俺が小一になった頃。
両親の様子がおかしかった。

なにか相談をしては俺の方をちらちら見てきて。

まぁ、少しは察してた
兄貴と俺との扱いの差が違った

兄貴はいつも愛されて、褒められて

俺はいつも放置され、親は俺に無関心で

構ってくれる人は兄貴と、兄貴の友達。

そして、ある日。

兄貴も何かを知った様子で、母親に反論していた
が、母親はその兄貴を宥め、学校に出した。

俺は風邪で病院に行くことになっていた

最後に見た兄貴の顔が忘れられない。
手を振る俺を心配そうに見る兄貴

『＿行ってらっしゃい』