密室、暗闇、二人きり。【そ.ら.る】 (ページ37)

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「……あ、Aさん、今日は裸エプロンじゃないんだ」

「そらるさんこんにちは、私一度でも裸エプロンで貴方にお会いしたことがありましたでしょうか」

「ぶふっ付き合って間もないのにコントみたいな会話してるっ」

とんちんかんなことを言うそらるさんと腹を抱えて笑うまふくん、どちらに手土産を渡すのが最善か判断してまふくんに押し付けた。

うちの近くにある和菓子屋の羊羹である。

美味しいから2人にも食べて欲しかったのだけれど、本日何故私がここに招待されたのか分からない。

「はあ～かわいい………」

「……あの、まふくん、そらるさんどうしたの」

「ああ、そらるさん半年に１回あんな感じ」

「半年に１回あんな感じ？！？！？！」

羊羹を開封しながらあっさりと言い放つまふくん。付き合い長いんだろうな、こなれてる感じがする。

半年に一度ストレス的な何かが発散されてしまうのだろうか……ソファーの上でカービィのぬいぐるみをぽすぽす叩くそらるさんを見て思う。

ふと彼が私の方を見て、小さく手招きをした。

「何してるの、こっちおいで」

「ソファー座ってもいいですか？」

「もちろん、ほら」

しかしそらるさんが指さしているのは紛れもなく彼自身の太ももである。

……いやあの、恐れ多いというかなんというか、私重いんでやめといた方がいいというか……
と色々な感情が押し寄せてきたけど、そらるさんの有無を言わせない目に負けて、太ももの上にそろーっと腰掛けた。

ガシッ

お腹あたりに白くて綺麗な腕。

これはこれは。

「…….お疲れなんですか？」

「いいにおい」

「そらるさん離してください！私重いんで！」

「重くないよ、俺の事舐めすぎ」

「急にどうしたんですか、そんなキャラでしたっけ？！」

「いや自分の部屋にAさんがいることに感動してるとこ」

そらるさんの腕から抜け出すべくしばらく格闘していると、羊羹を切り分けて持ってきてくれたまふくんに「イチャつくな！！！」と引き剥がされた。