密室、暗闇、二人きり。【そ.ら.る】 (ページ2)

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しばらくして、イケメンの部屋(202)からの電話が鳴った。

私は目を光らせていたため、誰よりも素早く取る。
眠気を感じさせないこの速さ。若さの賜物です。誰か褒めて。

待ちに待っていたことを悟られないよう、表情を引き締めていつもの真顔で静かに話す。

「はい、どうなされましたか？」

『注文いいですか？』

「はい」

やばい。改めて聞くとこの人、声がどタイプである。
耳元で聞くとすごいな(語彙力)

この色気のある低音ボイス…率直に言ってえろい。声優か何かでもやってるのだろうか。この声生かさないと勿体無いと思う。

『フライドポテト』

「…以上で宜しいでしょうか？」

『あー……はい。お願いします』

なんだ。こんなイケボで「フライドポテト」って言われたの初めてだぞ。

フライドポテトっていう単語にドキッとするなんて…不覚。実に不覚だ。

内心キュンキュンなのを悟られまいと、また表情に力を入れて堪える。

しっかりしろ、仕事中だ。

.

「お待たせしました、フライドポテトです」

あ、歌声もすごい。イケボ。

揚げたてのフライドポテトを持って彼の部屋へ入った際の一番初めの感想がそれだった。

やっぱりそういう関係の仕事に就いてるんだろうな。音痴な私には大変羨ましく感じる。

「…あ。ありがとうございます」

丁度歌が終わったようで、画面は点数だの審査だのに切り替わる。

彼は私に視線を寄越し、軽く頭を下げた。

……うん、やっぱりイケメン。