揺蕩う~弍拾弍~ ページ22
例の一件が終わり、早くも月日は流れ、日々は以前と変わらねェ日常に戻っていた。
中也「...今何つった?」
『だからぁ、また二、三日戻れないって云ったの〜』
中也「手前はァああああああああ! なんっど心配掛けりゃ気が済むンだよA!!」
A『仕方ないじゃないお仕事なんだから』
中也「ンなもん舞姫使ってさっさと終わらせて来いよ!!」
執務室に響く俺の声。
何故此処迄苛立っているのかと云うと...。
中也「明日はポートマフィアでも重要な懇親会だろうが! 首領の血縁も参加なンだよ!!」
A『...其れが嫌だから逃げてるのにぃ......』
中也「知ってるわ! じゃあ仕方ねェから...
幹部(おれ)の恋人として出席しろよ」
そう云うと、Aはパタリと口を閉ざした。
が、其の反応に俺はニタリと笑んだ。
中也「どうだ? 之でも駄々捏ねるか?」
一言も返そうとしないAに、俺は更に続ける。
中也「A〜? どうすンだよ?」
A『......そんなの、狡いよ』
中也「俺ァ性格悪ぃンだよ。知らなかったのか?」
A『...一時間で戻る』
それだけ云うと、電話はプツリと途絶えた。
中也「フッ。可愛い奴」
___ __ _
「お久し振りです、お嬢様」
A「ええ、本当に。お会い出来て光栄ですわ」
「本日は真に良いパーティーですね、森殿」
森「其れは何より。存分に楽しんでいって下さい」
父様の下に代わる代わるやって来る、ポートマフィアと深い関わりのある方々への挨拶を済ませていく。
...一寸、疲れちゃったなぁ。
「疲れたのかえ? A」
A「姐様!」
森「おや、紅葉君」
姐様はドレスではなく、着物を身に纏っているが、然し何時もより艶やかな其れは、姐様の美しさを更に引き立てていた。
紅葉「大丈夫かえ? A。疲れたのなら何処かで休んで...」
「之は之は、首領殿。其れに、幹部殿と御息女迄。御尊顔拝せまして恐悦至極に存じます。
こうしてお会い出来たのも何かの縁。少しばかりお付き合い願いたいものですな」
紅葉「其方は...然しすまんのう。Aは今日は首領の娘子としてではなく......」
姐様が私だけでも逃がそうと前に立ってくれた。
其の直後、
「申し訳ありませんが、彼女は俺の連れですので」
聞き慣れた其の声と共に、私の身体は宙に浮いた。
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作者名:ミト x他1人 | 作成日時:2017年9月1日 23時