揺蕩う~拾漆~ ページ17
途轍もない爆発音。
耳を劈く様な突風の音。
之は間違い無く...っ
中也「独断専行、未だ治ンねェのかよ...A」
俺は思わず呆れて笑み、吹き飛ばされた扉の先を見た。
其処には案の定、血に塗れたAの姿があった。
女「ふふっ、想定よりお早いご到着ですこと。
お初にお目に掛かりますわ。ポートマフィアの姫君、森鷗外のご息女、Aさん」
恭しく頭を垂れる女を上から睨め付けて、Aは温度の無い冷やかな声で言い放った。
A「中也を離せ。そうすれば命だけは取らないでやる」
普段のヘラヘラとした柔らかい口調と打って変わった、語尾のキツい荒い口調。
其れでいて淡々と低く話す声音。
流石の俺でも見た事が無く、思わず目を見張った程、Aは激昂していた。
女「あらあら、ふふふ。容易くお返ししてはつまらないのではなくて?」
A「不快な笑み。それ以上中也に近付くな。さもないと...」
女「私を殺す、かしら? けれど異能を使ったら...彼の血を見る事になるわよ?
......異能を使わないで」
A「......」
女の言葉通り、Aは渋々異能を解いて、荒立つ風を鎮めた。
が、
女「!?」
次の瞬間、Aは一気に距離を詰めて、女に蹴りかかった。
A「ポートマフィア随一の体術使いである中原中也の隣に立つ私が、異能頼りな訳無いだろう」
女「...っ。そうね、考えが甘かったわ。...けれど...」
女が指を弾いた直後、周囲を銃器を持った敵に囲まれた。
女「私達の勝ちよ」
中也「A!!」
叫ぶが、Aは異能を使おうとはしねェ。
俺を殺すという脅しを信じて、動かねェンだ。
...けど、其の一瞬手前。
建物内に響いたのは銃声じゃ無かった。
「待たせたのう、A、中也。二人共無事かえ?」
入口に立ってたのは、着物姿の艶やかな女だった。
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作者名:ミト x他1人 | 作成日時:2017年9月1日 23時