揺蕩う~壱~ ページ1
ヨコハマの街を一望する、高くそびえ立ったビルの最上階。
俺、中原中也は今、ポートマフィアの首領、森鷗外に呼び出されていた。
森「未だ、見付からない様だね...」
溜め息混じりにそう微笑む首領に、返す言葉が出て来ねェ。
中也「...はい。申し訳ありません、首領」
帽子を手に、申し訳なさに眉根を寄せる。
が首領は哀しげに微笑んだ侭云う。
森「否、君に非は無いよ。
あの子の事だ、きっと態と隠れているのだろうしね。
其れに...他でもない君が、一番心配しているのだろうからね」
中也「確かに心配ですが...首領のお気持ちを思うと、とても其の様には...」
約半年前から行方を晦ましている、ポートマフィアの構成員の一人。
幹部ではないがマフィア内に其の存在を知らぬ者は無く、又、実力も計り知れない一人の女。
首領の実の娘であり、俺の恋人...A。
中也「現在相手組織の拠点を虱潰しに当たっていますが、到着時には、もう...」
森「そうかい、参ったねぇ...。
Aは強い。本来ならば然るべき役職を持つに値する、異能力者だからね。
其の上戦略、戦術に関しては群を抜いている。
お陰であの子の意図が掴めず、我々は捜索すらままならない。
全く、我が娘乍困った娘だよ」
そう云って肩を落とす首領だが、表情は穏やかで、娘を想う父親の顔をしていた。
中也「必ずAを捜し出します」
森「娘が手間を掛けてすまないね。頼りにしているよ、中原君」
何が何でも見付け出して、必ず連れ戻してやる。
無事で居ろよ、A。
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作者名:ミト x他1人 | 作成日時:2017年9月1日 23時