第六十三話 *シュラン* ページ15
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あの日から数日経ったとある日。あの日以来、クシナダ様とは会っていない。別に愛想を付田とかそういうものではなく、単にクシナダ様がジムリーダーとして毎日が忙しくなってしまったからだ。まぁ、ジムリーダーは何時の時代も忙しそうに
流石にあのような楽しそうにキラキラと輝く顔を見てしまっては会いたいとも言えず、こうして忙しくなくなったときに会いに行こうと思っていた。他人から楽しみを奪える性分ではないのだ。
「と言っても……、暇なものだ」
クシナダ様は勿論いなく、いつもこの隠れ家に居るゴースも何故かいない。ここ最近見ていない気がするな。どうしたんだろうか、彼奴は……。それはまぁ、置いておいて、その他のゴーストタイプのポケモン達も、昼間という事もあって陰に潜めてしまっている。そのお陰で私は暇を持て余していた。
「どうしたものか……。今日は生憎反転世界に行く気分でもない」
私は椅子の背もたれに寄りかかり、青空を仰ぎ見る。春の陽気が気持ちが良い。鳥ポケモン達が気持ち良さそうに飛んでいる。
「……。しょうがない、外へ出かけるか」
私は暇過ぎて耐えられず、しょうがなく久々に一人で出かける。と言っても街に出ようとまでは思わないが。久しぶりに森の中を歩き回るとするか。
私はそう考え、春仕様の黒のジャケットを身に纏った。
***
暫く歩く。今歩いているのはクシナダ様の住んでいる街、【タチバナシティ】が有る方向に足を運んでいた。
「たまには、一人で散歩をするのも良いものだな……」
私はそう呟き、さわさわと優しくそよ吹く微風に当たる。微風が優しく私の頬を撫でる。私は少し顔をあげ、空を見る。青々しく茂った綺麗な葉の間から、青空と綺麗な木漏れ日が射す。
「木漏れ日が綺麗だな……」
私はそう呟きながら、再び足を動かす。
もう暫く歩いていると、少し離れた場所から聞きなれた鳴き声が聞こえてきた。『にゃー』と『みー』という鳴き声が聞こえる。少し近寄ってみると、クシナダ様がいつも抱きかかえているニャスパー達が居た。
「おや、貴方達は……」
声をかけると、その二匹のニャスパーはひしっと私の足に抱き着いた。私はそれを抱き上げ問いかける。
「二人とも、何故ここに来たのですか?」
「にゃー、にゃにゃにゃー」
「みーみー」
そう言えば、テレパシー使わないと分からない……。
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作者名:シュラン&*ねこふとん* x他2人 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年1月12日 18時