【pkmn】所詮は身代わり人形 (ページ6)

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近づく心臓ページ6

*

目を覚まし視界に広がっていたのは木張りの天井だった。

ギンギンと圧縮したかのような目の痛みに少し悶えつつ鏡を見れば、瞼を赤く腫らした自分の顔がある

「昨日、泣いちゃったんだ」

昨夜の出来事を思い出しほんのり後悔した、ウォロさんに迷惑を掛けてしまったかもしれないのだから。

けど、その時は、その時だけはちっとも寂しくなかった。

優しくわたしの話を聞いてくれているウォロさんの顔はシロナさんそのままだ。まるで本人がそばにいるかのよう

……テルくんが迎えに来てくれた。早く行かなきゃ

*

突如騒ぎ出したキングを収めたあと、黒曜の原野でタスクをこなしていたときだ。

近くの木の下で休憩しているとウォロさんと出会った

「ヒカリさん、ごきげんよう。調査は順調ですか？」

「は、はいっ！見て下さい、やっとゴンベの調査が完了したんです」

少し窶れた藍色の図鑑を差し出しゴンベのページを開けば、ウォロさんがとても興味深そうに手を顎に当てて覗きはじめる。

「ほほう、ゴンベはあまり見かけませんからね。とても興味がそそられます！」

ふに、と柔らかいくちびるが上下にせわしなく動く。そう言えばシロナさんと神殿に行った時もこんな感じだったなぁ

「いやぁとても良い物を見せてもらいましたよ！そう言えば昨晩は眠れましたか？」

これはお礼です、と手のひらを包むよう渡されたひし形の物体、げんきのかけらを受け取ると一つ言葉を投げられる

「はい、おかげさまでぐっすりです」

「それならよかった！」

へに、と微笑みを漏らしたウォロさんは再び目の前の図鑑に夢中になりはじめた

「図鑑完成、楽しみにしてますね！ではジブン、そろそろ行かないとギンナンさんに怒られてしまいますので！」

しばらくして満足したのかウォロさんは商売へ戻ると言い出した

「はい、がんばってくださいね」

「そちらこそ。ではまた今度」

しかしウォロさんはその場を離れようとしなかった。なにか体調でも崩したのかな…

「あの？ウォロさん…」

「そうそう思い出しました！ジブン、夜はコトブキムラのいちばん右端の宿舎を借りてるんです。もしまた寂しくなったらいつでもいらしてくださいな。基本夜は暇なのでね」

変わらぬ笑顔で放たれた言葉に少し戸惑った。

「ええ、これ以上迷惑を掛けては…」

「いいんですって！ヒカリさんとももっと仲良くしたいんです！」

はひ、と情けない返事が漏れる。少し距離が近いんだなぁ

でも、嬉しいや