【pkmn】ヤンデレトレーナーに愛されてみよう続々 (ページ46)

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「リョウくんのビークイン見せてよ、スケッチしたいんだ」

そよそよと優しい風が突き抜ける原っぱで、木の下に座り込んでいるリョウくんへ話しかける。どうやらアゲハントの羽の手入れをしているようだった。

「びきゅあきゅうん」

真っ赤な瞳に女王を思わせる大きなドレスを着たポケモン、ビークインがゆっくりと視界に現れる

「ありがと！ふふ、実際に見るともっと美しいね…」

真っ白なスケッチブックに黒鉛をサッサッと転がしていく。まずはビークインの形のおおまかなシルエットからだ。

「きゅんびぃきゅぅ」

モデルに大抜擢されたためか、ビークインは両手を頬に当てて照れている仕草を見せはじめる。ゆらゆらと揺れる羽は、日光を通して輝いていた

「ビークインもうれしそう」

手入れし終わったアゲハントをボールに戻していたリョウくんはとても朗らかに笑っている。次はドクケイルの番のようだ

カリカリと本格的にビークインを描いていく。やはりむしポケモンの素晴らしさを表現するにはスケッチが一番だ

ああ、シンオウを抜け出してもっとむしポケモンに触れ合えたら、その姿を手元の紙に写せたならば。

図鑑でしか見れなかった姿を、一度でもいいからこの目で確かめてみたい

「わたし、他の地方に行ってみたい」

「えっ…」

隣に座ってドクケイルを撫でていたリョウくんの動きが少しぎこちなくなった気がした。

「シンオウ地方では見られないむしポケモンに会いたいんだ。図鑑の写真だけじゃ物足りない」

「わたしはね、全てのむしポケモンの姿をこの目で確かめてスケッチしたい。」

「……」

「リョウくんは応援してくれる？四天王になるくらいむしポケモン好きだもんね！少しは気持ち分かるでしょ」

しかし望んだ反応は得られなかった。いつも元気なリョウくんは黙ってしまい、嫌な空気がそろそろと間を通り抜ける

「……昔からの夢だったんだ、ちっちゃい頃は恥ずかしくって誰にも言ってなかったんだけどね。はい完成！ビークインの美しさ上手に写せたかな？」

「きゅんきゅびぃ！」

描き終わったスケッチブックをビークインの前に広げると、またもや両手を頬に当てて嬉しそうに揺れはじめた。

「……うん、応援してる…がんばっ、て…ね！」

酷く詰まったリョウの声にびっくりした。だってほら、彼ってハキハキしてるからさ、いっつも