【pkmn】ヤンデレトレーナーに愛されてみよう続々

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『え、グリーンに勝ったの。凄いじゃん』

昔よりもいくつか大人びた声が機械越しに伝わってくる

その声は少しザラザラしているものの、Aのものだとすぐさま分かった

『だってバトル強かったもの…あ、ピカチュウとリザードンは元気？』

「ゔぃがちゃーう！」

「ぎゅあば」

『あはは、元気そうだね』

「Aは？」そう聞き返そうにもあまり話す気になれない。だって

だって…昔みたいな元気さを感じ取れないんだ

誰よりも前を走り抜けて憧れを目指して

ひたすら笑う子だったのに

『そうだ、今度マサラに帰ってきたら会いに来てよ。』

ひゅ、と少し嫌な呼吸をしてしまった

何故そんな呑気なこと言えるのだろうか

Aが旅を辞めた理由なんて痛いほど分かってる

それなのになんで自分に会いたいだなんて

『昔持ってたどくタイプ図鑑見つかったんだ〜、スピアーに見せたら喜んでたよ』

昔、どうしてもAの一部が欲しくってナイショで持って帰ったどくタイプ図鑑…大切に大切にしていた図鑑…

『なんかね、レッドん家で見つかったんだよ。レッドのママが届けてくれたの。家にお邪魔した時忘れて帰っちゃったのかな？』

『…最近会ってないからさ、グリーンとまた遊ぼうよ』

奥の奥に仕舞い込んだはずの罪悪感が蓋を開けて飛び出そうとしてきた。





「……帰らない」


『えっ』


「……もっと、強くなる」



『ええ、少しぐらい顔だしても』

がちゃ

ごめん、A

Aは気にしてなくっても自分は気にしてるんだよ

Aの気力が無くなっていった理由

少なからずとも自分にも原因があるはずなんだ

君が旅に出た理由、それは強くなることじゃなかったのに


『ポケモンと仲よくなれたらいいなぁ！』


『……Aはバトルしないの』


『したほうがいいかな？グリーンも頑張ってるしわたしもしたほうがいいよね…？』


あの時の言葉。もしそれが無かったら

Aはまだ子どものような笑顔が残ってたのかな

ごめんなさい、もう顔を合わせることなんてできないや。

ごめんなさい、ごめんなさい



『さいっこうの〜ボロボロぐつっさ〜！』


ごめん、あの時みたいに一緒に歌えない


「ぴっちゅ、ちゃぁ…？」

ピカチュウの声にハッとする

棚に大切に飾られていたぬいぐるみのようにまんまるで黄色い体を抱きしめてみれば

二度と叶わない想いと罪悪感が酷く濁ったような匂いがした。

また、会いたいなぁ

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