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「ねぇどうしてあんなになるまで追い込んだの…?」

「う…」

落ち着きを戻したスグリくんに問うてみる

頭を両手で押さえつけたためかぐしゃぐしゃになっている髪がなんとも痛々しい

「お、おれさ…強くなればAも振り向いてくれると思ったんだべ…あと鬼さまにも…」

ゆっくり、ゆっくりと背中を撫でて安心させる

またあのときのように荒ぶってしまうのだけは避けたい

「ぅぐ…ごめん、ごめんな、A…おれ、迷惑ばっか掛けて…」

ふるふると波打つ声がとてもか細く思えた

なにか言ってやらねばな

「ううん、嬉しいよ、ありがとう。わたしのために頑張ってくれたんだよね?」

こく、と小さく頭が上下に振られた

「えへへ、スグリは優しいね」

ふ、と突然こちらを凝視し始めたスグリくんにびっくりする

「なあ、さっき、おれのこと…!」

「…?スグリって呼ばれるの嫌だった?」

ううん、と涙を腕で拭きなから何度も何度も首を横に振っている

「わや…わや嬉しいべ…!」

その笑顔を見た瞬間、心の中で言い表しようのないほど爽やかな風が吹き始めた

ああ、その笑顔!

「その笑顔、スグリのその笑顔が見たかったんだよ…!」

オモテ祭りの時見せてくれた笑顔。控えめに細められた瞳に、りんご飴のように真っ赤に照る頬

あまりの嬉しさにわたしが泣いてしまった

「ほんっとね…!心配したんだよ…?!うぅ…よがっだぁ!よがっだよぉ!!」

感極まり思わずスグリを抱きしめてしまうも、一瞬驚きを見せた腕は優しくわたしを包みこんでくれた

「ごめん、ごめんな…心配してくれてありがと…」

わんわん泣き叫ぶわたしをスグリは深く深く抱きしめる

ぷろろろ、と勝手にボールから出てきたファイアローがそっと身を寄せてくれた

「うわぁああん!やくそくしてよ!またむりしないって、やくそくしてよね!」

にへへ…といつもの控えめな笑い声がゆっくりわたしの耳の中に入ってきた

「うん、約束。おれ、Aを泣かせないようけっぱるね」

きゅ、と優しく小指が絡み合った

「うん、絶対まもってね!守らなかったらハリーマン丸呑みさせるからねっ!!」

「にへへ…Aはおっかねぇべな」

じんわりと沈んでゆく夕日は、今までの辛いことを全て焼いてくれるような、そんな足取り。

からから…鬼さまの入っているボールから、とても安堵したような鳴き声が静かに響いた

"→←スグリ



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ももすけ(プロフ) - あみゃさん» 😎 (1月26日 22時) (レス) id: dfacd091ad (このIDを非表示/違反報告)
あみゃ(プロフ) - えへへへへへカキツバタかっけぇねえへへへへへへへへへへへ (1月26日 21時) (レス) id: c068fa4c28 (このIDを非表示/違反報告)
ももすけ(プロフ) - くろわっさん@ヴァwinkPさん» 良かった〜〜〜✨お話書くのとっても楽しかったです! (1月13日 2時) (レス) id: dfacd091ad (このIDを非表示/違反報告)
くろわっさん@ヴァwinkP(プロフ) - リアルに「ハッッッ!!!!!ガッッッッッ ア゚ッッ」て声出てしまった……すき〜〜〜〜!!!リョウありがとうございます〜〜〜!!! (1月13日 0時) (レス) @page44 id: d4908bd0ed (このIDを非表示/違反報告)
ももすけ(プロフ) - カフェオレさんさん» 喜んでもらえれば何よりです! (1月10日 19時) (レス) id: dfacd091ad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ももすけ | 作成日時:2023年12月13日 1時

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