ヴィオラさんとの日常 ページ37
｢……あ、いたいた。ヴィオラ、ちょっと話が……って、どうかした？｣
｢……ずっと気になってたんだけど……
Aちゃんって、僕とヴァイオリンのこと、どうやって見分けてるの？｣
｢え……見分けるって？｣
｢ええと……ほら、僕とヴァイオリンって、見た目はほとんど大差ないでしょ？ けど、Aちゃんには間違えられたことないなぁ、って思って……｣
｢……えっと、その……｣
｢あっ……ご、ごめんね！？
困らせたかったわけじゃなくて……そうだ、とっておきのジョークでも聞かせようか？｣
私が混乱しているのを感じ取ったのか、ヴィオラは焦った様子でいつものジョークを言い始めた。
……ヴァイオリンとそっくりな見た目ながら、弟とは一線を画す渋い声を持つ彼は、しばしば『ヴィオラジョーク』と呼ばれる自虐ネタを生み出す。
役割的にどうしても地味になってしまうせいか、彼は自身のことを半ば無意識に自虐してしまう癖がある。
｢誠実な政治家、空飛ぶサンタクロース、上手なヴィオラ弾き。この中で、実在するものはどれでしょう？
…………答えは、どれも存在しない｣
｢……っ、ふふ……っ｣
｢……あはは、よかった、笑ってくれて。
さっきはごめんね、変なこと言っちゃって｣
｢あ……ううん、気にしないで。……少し、驚いただけだよ。見分けるなんて、考えたことなかったからさ｣
｢え……｣
私がそう呟くと、彼は驚いたように目を丸くした。
｢確かに見た目はそっくりかもしれないけど……少なくとも、私は2人のことを見分けようって意識したことはないかなぁ。
それに、楽器の仲を取り持つのって、そんなに簡単じゃないでしょ？ ……そういうのって、誰でもできるわけじゃないと思う。すごいことだと思うけどな｣
オーケストラにおいて内声部を担当する彼は、喧嘩しがちな兄弟たちを仲介し、両者の音を橋渡しするという重要な役割を担っている。
｢……そ、そうかな。けど僕なんて、ヴァイオリンに比べたら音も地味だし、
｢……ふふ、相変わらず褒められベタだよね。そのジョークも、本当は照れ隠しなんでしょ？｣
｢うぅ、分かっててやってるでしょ……相変わらず性格悪いよね、Aちゃんって。
……でも、ありがとう。褒められるのは苦手だけど……嫌いなわけじゃないんだ｣
｢……ふふ、そっか｣
……彼はそう言って、困ったように微笑んだ。
オススメの楽器さん
バスクラリネット
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もも - べるーがさん» なんか泣ける… (4月19日 0時) (
レス) @page44 id: 8826ef9895 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» すみませんお待たせしました！！ いつも以上に作者の趣味全開で書いてしまって本当に申し訳ないんですが、よければお納めください……🙇🏻♀️ (4月17日 1時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» そうです！！ (4月11日 0時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» リクエストありがとうございます〜！！ 一応確認したいんですけど、弦楽器のコントラバスで合ってますか……？？ (4月11日 0時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» リクエストでコントラバでお願いします！！！ (4月9日 15時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べるーが | 作成日時：2023年3月1日 23時
