ヴァイオリンさんとの日常 ページ3
｢触るな人間｣
｢そうは言ってもね……もう少しだけ我慢できる？｣
｢馬鹿を言うな。この僕に触れるなど、烏滸がましいにもほどがある｣
｢はいはい、メンテもうすぐ終わるから｣
演奏の難しさは、性格的な気難しさにも反映される、と祖父も言っていたが、まさかここまでとは……
｢……、まだ終わらないのか？｣
｢ごめんね、あと仕上げだけだから。
はぁ……おじいちゃん、どうやって手懐けてたんだろう……｣
切れかけたE線を新しい弦に交換し、クロスでボディを拭いてやりながら、密かにため息をついた。
｢……ヴァイオリンって、なんでそんなに人間嫌いなの？｣
｢さぁ、なんでだろうな。
……強いて言うなら、存在自体が癪に障るからか？｣
｢あはは、酷い言いようだね……まぁ私も人より楽器の方が好きだから、気持ちは分かるけど｣
幼い頃から楽器にしか触れてこなかったせいもあるだろうが……彼らは、私たちと感覚が違うように思う。
｢……人間なんて、馬鹿で勝手で自分のことしか考えない、飽きっぽい連中だ｣
｢あはは、身も蓋もない……
じゃあ、逆に人間の好きなところってある？｣
｢……もし僕がひとつでもあると答えると思ったなら、やはりお前は相当の馬鹿だな｣
……相変わらずの嫌われぶりだけど、表現が少し遠回しになったような気がする。もしかして、さっき身も蓋もないと言ったのを気にして……？
｢……ふふ、ヴァイオリンって優しいよね｣
｢は？ 人間相手に優しくなんて、するわけな……｣
｢はいはい、分かってるよ。……よし、メンテ終わり！｣
｢……っ、待て｣
……そう言って腕を掴まれた。あ、あんなに触られるのを嫌がっていたヴァイオリンが、自分から……！
｢手……！！｣
｢な……！？ 違っ、これはお前が僕の話を聞かないから……
というか、お前のせいでまた手が汚れたじゃないか！｣
｢えぇ……そっちから握ってきたのに｣
……すぐ離れてしまったことを若干残念に思いつつも、少し親密度が上がった気がして嬉しくなる。
｢都合の良い解釈をするな。
……というかお前、何をしようとしている？｣
｢えっ……メンテ終わったからケースに閉まってるけど｣
｢ふざけるのも大概にしろ。……僕の手が汚れたままで放置するつもりか？｣
｢つまり……もう一回クロスで拭けってこと？｣
｢……、そこまで言わなければ分からないのか？｣
｢……っはは、ごめんごめん。仰せのままに｣
オススメの楽器さん
バスクラリネット
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もも - べるーがさん» なんか泣ける… (4月19日 0時) (
レス) @page44 id: 8826ef9895 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» すみませんお待たせしました！！ いつも以上に作者の趣味全開で書いてしまって本当に申し訳ないんですが、よければお納めください……🙇🏻♀️ (4月17日 1時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» そうです！！ (4月11日 0時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» リクエストありがとうございます〜！！ 一応確認したいんですけど、弦楽器のコントラバスで合ってますか……？？ (4月11日 0時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» リクエストでコントラバでお願いします！！！ (4月9日 15時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べるーが | 作成日時：2023年3月1日 23時
