・ ページ18
.
それから色々話したが、灰崎くんに関する話になることはなかった。
普段部活の買い出しや一緒に買い食いをする時は「またサボりやがって」「アイツを言いくるめる方法は」など些細なことも話すのに、今日は一切話さない。
この人、確実に知っている。
私と灰崎くんの間で起こった出来事を灰崎くん自身から聞いたか、または灰崎くんから聞いたことを誰かが言ったか。どちらにしても確実に知っているはずなのに、一切話してこない。
『灰崎くん』
「……あ?」
ぴくり、と反応があった。
『やっぱり、知ってますよね』
「……」
『今日、どうして私を誘ってくれたんですか?ただお昼ご飯を一緒に食べたかっただけじゃありませんよね。』
二人の間で沈黙が流れた。
虹村先輩をじっと見つめる。
彼はしばらく考え込むと返事の代わりに、ふっと笑った。心が洗われるような、ぱっと魅かれるその顔。
「………何のことだか分からねぇな」
『え……?』
「今日誘ったのだって、Aが今頃誰かに会いたいと寂しく思ってるところじゃねぇかと思ったからだ」
『……そう、ですか。あくまで自分は何も知らない、と』
「あぁ、灰崎と喧嘩でもしたのか?」
『いえ、なんでもないです』
……でも私は虹村先輩が“私と灰崎くんの間で起こった出来事”を知っていること、分かっていますよ。
口には出さなかったが、心の中でそう思った。
_____誰かに会いたいと寂しく思ってるところじゃねぇかと思ったからだ。
大当たりです。
誰でもいいから誰かに会いたかった。誰かに会ったらこの得体の知れない寂しさを埋められると思った。
そんな気持ちを見越して、今日虹村先輩は私を誘ってくれた。
何も知らないふりをして気遣ってくれるところ。
出来事を聞いたその日や次の日に来ないで、あえて今日来るところ。
『そういうところですよ虹村先輩』
「あん?」
_____私があなたを尊敬する
368人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
春(プロフ) - らてさん» とても素敵なコメントありがとうございます!他のメンバーのお話も考えております。ご期待に応えられるか分かりませんが頑張ります!ありがとうございます!! (2023年1月24日 7時) (レス) id: edf0169bda (このIDを非表示/違反報告)
らて(プロフ) - とっても面白いしドキドキしました。黄瀬くんも他の黒バスメンバーももっと大好きになりました。素敵な時間をありがとうございました!!!続編や他のメンバーのお話もぜひ見たいです、無理せず頑張ってください、応援してます! (2023年1月8日 0時) (レス) @page47 id: f9f6bd1b23 (このIDを非表示/違反報告)
春(プロフ) - みかんさん» そんなこと言ってもらえるなんて嬉しいです( ¨̮ )ありがとうございます!!! (2022年6月24日 8時) (レス) id: edf0169bda (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 涼太大好き!!!私元々黄瀬君のこそ好きでしたけどこの作品読んでもっと好きになりました!頑張ってください! (2022年6月23日 21時) (レス) id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
春(プロフ) - みかんさん» わー!ありがとうございます!!涼太ぁぁ! (2022年6月22日 23時) (レス) id: edf0169bda (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:春 | 作成日時:2021年12月4日 22時