75 ページ25
だから、ふわりと微笑みながら、水槽の中を見つめるAちゃんを隠し撮り。
1秒でも長く、同じ時を過ごして、思い出の記録を残さないと、後悔しそうだから。
「離さないの、暗いから迷子になるでしょ?」
『ごめんね?』
「うん。ね、綺麗だね」
『1/fゆらぎ……』
「あぁ、聞いたことある。癒される的なやつだ」
『うん。ずっとぼーっと見ちゃう……頭空っぽになるみたい』
「ん、そうかも……。俺の1/fゆらぎはAちゃんの存在だな〜」
『んっふふ、ありがたきお言葉ぁ』
ふわふわと照れたように笑って、またクラゲを見つめてる。
俺はクラゲなんかより、水槽のなかで揺らめくクラゲをぼんやり見るAちゃんに見惚れた。
「ねぇ?」
『ん?』
「Aちゃんもクラゲみたい」
『えぇ?どこが?』
「透明なところ。なんか、儚くて、気付いたら消えちゃいそう。あと柔らかいとこ」
『ふふ、消えないよ』
「うん。ずっと俺の隣にいてね?」
離れたままだった手をそっと繋ぎ直して、俺のコートのポケットに忍ばせた。
『潤も。綺麗なお姉さんによそ見しちゃダメだよ?』
そう言いながら、俺の腕に擦り寄って、上目遣いで見てくる。
こんな毎秒可愛い彼女がいて、よそ見なんかしてる暇ないよ。
「うん、絶対しない」
『ん。ね、向こうみよ!で、イルカショーも!』
俺が勝手に不安になったり、ちょっと切なくなってることなんか
全然気付いてないAちゃんは
終始笑顔で、水族館を満喫してくれる。
楽しみにしてたイルカショーはいちいち拍手して
すごいねぇって俺に笑いかけてきてさ。
俺はイルカみてるより、Aちゃん見てた方が幸せだった(笑)
で、すごく楽しみにしてたのを見られたからAちゃんは超ご機嫌。
「ご飯食べに行こー」
『はい!』
「なんか食べたいのある?」
『んー、魚以外。水族館のあとだから!』
「了解(笑)」
仕事柄カフェのご飯は食べ過ぎてるから……。
『ラーメン大好きー!』
「俺も。たまには良いよねぇ」
『ねっ!はい、餃子は半分こ!』
「俺のが多いじゃん。良いの?」
食べる前に取り皿に自分の食べる分だけ取って、餃子の皿を俺の目の前にくれた。
『運転とぉ、水族館デート楽しかったぁ、ペンギンのぬいぐるみ買ってくれたぁ、今日も大好きだった、のお礼!全然足りないけど、ありがとうございました!』
391人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鈴 | 作成日時:2020年12月16日 14時