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だから、ふわりと微笑みながら、水槽の中を見つめるAちゃんを隠し撮り。


1秒でも長く、同じ時を過ごして、思い出の記録を残さないと、後悔しそうだから。


「離さないの、暗いから迷子になるでしょ?」


『ごめんね?』


「うん。ね、綺麗だね」


『1/fゆらぎ……』


「あぁ、聞いたことある。癒される的なやつだ」


『うん。ずっとぼーっと見ちゃう……頭空っぽになるみたい』


「ん、そうかも……。俺の1/fゆらぎはAちゃんの存在だな〜」


『んっふふ、ありがたきお言葉ぁ』


ふわふわと照れたように笑って、またクラゲを見つめてる。


俺はクラゲなんかより、水槽のなかで揺らめくクラゲをぼんやり見るAちゃんに見惚れた。


「ねぇ?」


『ん?』


「Aちゃんもクラゲみたい」


『えぇ?どこが?』


「透明なところ。なんか、儚くて、気付いたら消えちゃいそう。あと柔らかいとこ」


『ふふ、消えないよ』


「うん。ずっと俺の隣にいてね?」


離れたままだった手をそっと繋ぎ直して、俺のコートのポケットに忍ばせた。


『潤も。綺麗なお姉さんによそ見しちゃダメだよ?』


そう言いながら、俺の腕に擦り寄って、上目遣いで見てくる。


こんな毎秒可愛い彼女がいて、よそ見なんかしてる暇ないよ。


「うん、絶対しない」


『ん。ね、向こうみよ!で、イルカショーも!』


俺が勝手に不安になったり、ちょっと切なくなってることなんか


全然気付いてないAちゃんは


終始笑顔で、水族館を満喫してくれる。


楽しみにしてたイルカショーはいちいち拍手して


すごいねぇって俺に笑いかけてきてさ。


俺はイルカみてるより、Aちゃん見てた方が幸せだった(笑)


で、すごく楽しみにしてたのを見られたからAちゃんは超ご機嫌。


「ご飯食べに行こー」


『はい!』


「なんか食べたいのある?」


『んー、魚以外。水族館のあとだから!』


「了解(笑)」


仕事柄カフェのご飯は食べ過ぎてるから……。


『ラーメン大好きー!』


「俺も。たまには良いよねぇ」


『ねっ!はい、餃子は半分こ!』


「俺のが多いじゃん。良いの?」


食べる前に取り皿に自分の食べる分だけ取って、餃子の皿を俺の目の前にくれた。


『運転とぉ、水族館デート楽しかったぁ、ペンギンのぬいぐるみ買ってくれたぁ、今日も大好きだった、のお礼!全然足りないけど、ありがとうございました!』

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作者名: | 作成日時:2020年12月16日 14時

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