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『これならまだマシ(笑)』


「どれどれ。え、かわいい……」


『えぇ?どこが?前髪長すぎて顔見えてなさすぎてやばいと思います』


確かに前髪が長いんだけど


肌の白さとか、さらっさらの肩までの髪とか、赤い唇とか


前髪の隙間から見えるぱっちりとした目とか……


全然変わって無くて、これで誰からも手をつけられてないっておかしくないか?!


いや、彼氏はいたことあったから、誰にもってこともないし


途中までは手を出してきた野郎がいるから、完全って事なはいけど……


それにしても可愛すぎて!!


透明感とはAちゃんのためにあるような表現じゃね?


「前髪の隙間から可愛さが隠しきれずに溢れて出てしまっている……!でも顔がもっと見たい!他ないの?」


『んー?じゃあこれ。基本的に自分の写真を撮るとか写るっていうのが頭にないんですよ』


「何で?……ほら、可愛い」


友達がふいに撮った横顔の写真で可愛いって可愛いが確定してるじゃん!


勿体ない、勿体ない!


画面の下に小さく写真が並んでるけど


Aちゃんの言う通り、人が写ってる写真は少ないように見えた。


だから本当にちょっと写真が苦手なのかもしれない。


『んぅー、そう言ってくれて嬉しいけど、恥ずかしい』


「いや、マジで勿体ないから、これからは俺といっぱい撮ろ!カメラロールもいっぱいで、アルバムも何冊も出来るくらい!」


『えぇ……(笑)』


「記憶にも記録にも残しましょう!ね!」


『んぅ、はぁぃ……』


しかも2人で撮ったの、学祭のうさ耳のやつとクリスマスのイルミネーションのしかないのにも気付いた。


バイトで会うから写真撮るっていう考えが俺もすっかりなかったなぁ。


だって生身のAちゃんが目の前にいるんだもん。


だけど、よく考えたら写真に撮ったら会えなくても見られるじゃんね。


なんなら待ち受けにしたら良いんじゃん。


何でそんな良いこと忘れてたんだよ、俺!


『潤?』


「ん?」


『にやにやしてる(笑)』


「あぁ、ははは、ごめん。写真いっぱい撮ろって考えたら楽しすぎて、つい」


『んふふ』


ちょっと恥ずかしくて、俺が笑うと、Aちゃんも笑うから


その笑顔の連鎖が甘く、溶けてしまいそう。


「待ち受けとかにすんの」


『えぇ、私は無理!ハードル高い!』


「でも俺はするよ?寝る前とかに見たいもん」


『あぁ……それはあるかも。寂しい時とか』

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作者名: | 作成日時:2020年12月16日 14時

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