ヒメユリコンペティション2【ars/K.N&S.S】 (ページ16)

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櫻井先生と二宮先生が、一緒に行けないけど店まで送ると言ってくれたのを

丁重にお断りして、行きつけのバーに寄った。

女性店長さんで、バーテンの浦野さんっていう人のバー。

浦野さんの趣味なのか、店内もすごく可愛くてお洒落で大好きな空間。

『いつものください』

コートをウェイターの若い男の子に渡して、スツールに座りながら注文する。

浦「あら、今夜は酔いたい気分なんですか？」

『えぇ。忘年会ですごーく疲れちゃって』

浦「ふふ、畏まりました」

私の目を見てふわりと綺麗な笑みをくれてから

カクテルを混ぜる指先に、女性特有のしなやかさを感じて思わず見惚れた。

美しすぎるとは、この人のためにあるような言葉と言っても過言じゃないなといつも思う。

羨ましい……。

浦「飲みすぎちゃダメですよ、A先生？」

『飲みすぎてたら、止めてください(笑)』

浦「はい(笑)最近お見かけしなかったので、心配してたんですよ？少しお痩せになりましたよね？」

どうぞと、コースターに乗ったグラスを私の前にゆっくり滑らせて置いてくれた。

『プライベートのいざこざと学校の行事が重なって精神的にやられてしまって、珍しく食欲がなくて……』

浦「そうでしたか。大変でしたね」

浦野さんの声はいつだって優しくて綺麗で、癒される。

浦野さんにたわいもない話を聞いてもらうだけでも、心が浄化されていくようだった。

それに職業柄なのか、浦野さんから深いところを聞いてこないのも心地いい。

浦「モテ期到来って感じですね(笑)」

強めのカクテルを飲みながら、櫻井先生と二宮先生のことを話すと、すごく楽しそうに笑ってくれる。

『モテ期……かぁ。普通の恋愛の仕方忘れちゃったから分かんないな、その感覚も』

浦「前の人とは？もう完全に？」

私が芸能人と、ましてやアイドルと付き合ってたことは、浦野さんにも当然言ってない。

元彼が別れた直後に結婚したこと、子どもが産まれたことは言ったけど。

そういえば、言ったら一緒に怒ってくれたなぁ。

『はい。なので絶賛フリーです』

浦「だったら付き合ってみたらいいのにぃ。ダメなら次！って感じで」

『この年でぇ？キツイなぁ、ダメだったら』

浦「まだまだ若いですから！(笑)付き合わないことには始まらないんだし」

なに言ってるんですかって笑いながら言う浦野さんに、私も笑って誤魔化した。