お嬢といっしょ【ars/K.N】 (ページ5)

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「あー！お嬢！」

『なぁに？』

「ダメです！これはお絵描きの紙じゃないんですよ？学校に出す宿題です！」

『え？』

俺が机に置いておいたプリントの裏に、落書きをしてしまったお嬢。

しかもペン……。

俺もお嬢の前に置いたのが悪いんだけどさぁ。

俺が少し大きくて焦った感じで声をかけたから

小さな身体がぴょこんと跳ねる。

こりゃ、親戚の子が落書きしましたって言って出すしかないやつ。

なので、ちょっとだけ怖い顔をして叱ります。

「こら」

『かずぅ。ごめんなさい……』

泣きそうになるからまた焦って、代わりに返ってきたプリントを渡す。

「こっちの紙は使っていいので、これからは和に聞いてから使ってください」

『はぁい』

しょんぼりなお嬢。

「ちなみにこれは何を描いたんですか？」

裏を見ると、人間と、何かの動物と、木とか、色々描いてある。

『……Aとぉ、かずとぉ、これはね、ねこ！』

「上手ですね？」

あっぶね。

狐かと思った(笑)

『これは、ねこのおもちゃ！』

「みんな楽しそうですね？」

『うん！』

すっかり笑顔のお嬢。

いや、泣いた顔も可愛いんだけど、勉強したいのに邪魔だから

今日は見るのをやめておく(笑)

『かずぅ』

「何ですか？」

『いつ、ずぅけんおわる？』

「んふふ、ずぅけん……とは？」

『ずぅけんだよ！ずぅけん！あたまいいがっこーいくんでしょ？』

「あぁ(笑)受験ですね？来週ですよ」

『おわったら、いっしょにあそぶやくそくしたの、わすれないでね！』

「はいはい」

ずけん……訛ってるのかな？(笑)

お嬢に邪魔され、癒され、ついに受験当日。

母「落ち着いてね！頑張って！」

父「俺のがドキドキするよー」

「大丈夫(笑)行ってきます」

親と親分からもらった学業成就のお守りと

お嬢の手作りのお守りを持って、いざ受験！！

『かーずー！これてつだって！』

「はい」

お屋敷の庭でお嬢と砂遊び。

『かず、よかったね！ごーかくして』

「はい。お嬢とお嬢のお父さんとお母さんのお守りのおかげです。ありがとうございます」

『Aのおまもり、よかったでしょ！』

「一番良かったですよ？」

『だってね、かずといっしょにいれますようにって、おねがいしながらかいたからね！かみさまみてたんだよ！』

「そうですね」

無事に進学校に合格したから、約束通りお嬢のお相手。