ヒメユリコンペティション【ars/K.N&S.S】 (ページ19)

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最近わかってきたけど、絶妙にバランスがいいんだよな、A先生って。

距離感近くて、簡単に手が届くと見せかけて

なんか本当の奥までは踏み込めない、踏み込ませないミステリアスな感じが。

芸能人並みのルックスまでは当然いかないけど

親しみやすいレベルの見た目の可愛さとか、ふとした美人な雰囲気とかさ。

『おはようございます、二宮先生』

和「あぁ、おはようございます。A先生」

『何か良いことでもあったんですか？ニコニコして』

教科書や手帳を胸に抱いて、俺の顔を覗き込んできた。

和「ないですよ、別に(笑)」

『でも朝から二宮先生が笑顔だと嬉しいです』

和「え、何で？」

『いーっつも不機嫌で気怠そうにしてるから(笑)血色悪いし。ご飯食べてます？』

和「食べてますよ(笑)」

『んっふふ。それは良かった』

そう言って俺の隣に座って、朝の会議に参加する。

こう言う何気ない言動も、嫌味がなくて良いのかもしれないと思う俺。

そしてそんな会話をしている俺らを睨みつけるように櫻井先生が見てきた。

その顔がむかついたから、ちょっとだけA先生に側に椅子を寄せて、肩を触れさせてやった。

はっ(笑)

分かり易すぎ。

めっちゃイラついた顔で天井を仰いで

そのイラつきをどこにもぶつけられないからか

左手で後頭部を掻いて、消化しようと努力してる。

『ん？』

馬鹿なことをしてる俺らの横で、肩が触れたからか

不思議そうに俺を見てきたA先生。

和「いえ。もう少しこっちに寄った方が、校長の顔が見やすそうだったので」

『あ、ごめんなさい。気付かなくて。もう少し私もずれましょうか』

和「大丈夫です、ありがとうございます」

俺の適当な言葉に小さく会釈をして、校長の話しを真面目に時々メモしながら聞いている。

大した話しもしてねぇのに。

かったるい朝礼も終わり、準備室で一服してから授業に向かおうと考えながら立ち上がる。

翔「二宮先生？」

和「はい？」

腕を組んで俺を覗き込むように睨んできた。

翔「先程のは、わざとですか？」

小さな声と目には怒りを含んでいるが、口角は不気味と爽やかに上がっている。

和「何のことですか？」

翔「あ"？」

和「まぁまぁ(笑)Chill out.」
(落ち着けよ)

翔「What’s the point？」
(何のために？)

和「There is no special reason.」
(特に意味はないよ)