ヒメユリコンペティション【ars/K.N&S.S】 (ページ15)

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俺だけやっとの思いで目的地に着くと、仕事モードから、2人して徐々に解き放たれていく。

店に着くなり、生をニつとお互いが食べたいものをいくつか頼んだ。

『ここのお店、家から近いのになかなか来れなくて。嬉しいですー』

翔「そうだったんですね。良かった」

向かい合って座るから、真正面から久しぶりに見るA先生に

また心臓が強く鼓動を打つ。

胸の長さまである髪は内巻きで、今から食事をするからか、サッと後ろで結う。

またその仕草が色っぽくて、つい見惚れてしまった。

『スーツ、大丈夫そうですね』

翔「え？あぁ、はい」

ボーッとしていた俺の左肩を、身体を少し机から乗り出してそう言う。

『んふふ、良かったぁ』

翔「お気遣いありがとうございます」

『いえ！こちらこそ。たくさん人が乗っていたので助かりました。あれだけ人がいると、背が低いからか、結構酸素が薄くなっちゃって』

翔「大変ですね？」

『慣れましたけどね(笑)』

知り合って3年だから、ある程度の基本情報は仕入れている。

異性のタイプは、好きになった人がタイプ

嫌いなのは、束縛

休みの日は、寝てることが多いこと

得意料理は、味噌汁

好きな食べ物は、白米
ゆえにご飯のお供的なものも必然と好き
そしてよく食べる(らしい)

酒は飲める方

車が好きで、四駆の赤い車に乗っている

まぁ、その他諸々細かいこと含め、知っているが……

それ故に改めてこうして食事の場を設けたとて

どう会話を切り出したら良いか分からない。

『櫻井先生は、最近のお休みは何されてるんですか？』

俺がグダついてる間にA先生から聞いてくれる。

翔「今はピアノですね、専ら。あとは買い物や、学校のこととかですかねー」

『あ、まだお休みのスケジュールの時間細かいんですか？(笑)』

「というか一生分刻みかと(笑)」

『んっふふ、じゃあ彼女さんや、未来の奥様は大変ですねぇ。それに合わせないといけないから』

翔「それはちゃんと相手の希望も聞いた上で予定を立てますよ」

『ふふ。じゃあ幸せですね。何から何まで櫻井先生が計画立ててくれて。至れり尽くせりだぁ。お姫様みたーい』

頬杖をついてニッコリしながら、俺を見つめて言ってくる。

はぁぁぁ！！

心臓がもたん。

可愛い。

萌え。

天使。

胸キュン案件。