ヒメユリコンペティション【ars/K.N&S.S】 (ページ14)

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『櫻井先生、すみません。ちょっと片付けしてて遅くなっちゃいました』

「大丈夫ですよ！行きましょうか」

少し走ってきてくれたのか、息を切らして職員室に入ってきたA先生。

頭でいくつか候補にしている店までのシミュレーションをしておきたかったから

どれだけ待っていても苦ではない。

だってここからは次に繋げるために、絶対にヘマ出来ないからだ。

翔「一応A先生の食べたいものとか、最寄駅の店も考えてるんですが、何かご希望ありますか？」

『うーん……あまり生徒に見られるのは教育上良くなさそうなので、私の最寄りの駅でも良いですか？』

A先生の駅はうちの生徒はなかなか使わない駅だったと以前話したのを思い出した。

翔「確かに。そうしましょう。個室の居酒屋か、イタリアン、中華、和食何が良いですか？」

『個室にしましょうか。念には念をで。保護者に見られても困りますし』

翔「ですね。じゃあ行きましょうか」

『はい！』

浮かれすぎてるのが分からないように、必死に顔を作る。

でも溢れ出してしまう高揚感をどうにかうまく誤魔化したい。

『お腹空きました！』

翔「僕もです！」

2人で顔を見合わせて、微笑み合う。

うん。

今は自然に出来た。

『仕事が終わった後のビールってすっごい美味しく感じません？』

翔「分かります(笑)染み渡る感じが最高ですよね」

『そうそう！早く飲みたいなぁ』

学校の最寄駅から、たわいもない会話続け

一回乗り換えてA先生の家の最寄り駅まで行く。

乗り換えると、電車の中はまぁまぁ混んでいて身体が不覚にも密着してしまった。

『櫻井先生、すみません。お化粧がスーツについてしまうかもしれません……』

そう言いながら、俺のスーツが汚れないように、ハンカチを顔に軽く当ててくれていて

俺は背の低いA先生をドア側に立たせて、人がぶつからないように、向き合うように立つ。

普段こんなに近づいたことがないから、年甲斐もなく本気でドキドキした。

激しめに鼓動を打つのがばれたらどうしようと、変な心配をしてる俺をよそに

A先生を守るように立つ俺に、上目遣いで話しかけてくるからたまらない。

翔「洗えば良いですから。A先生は辛くないですか？」

『大丈夫です。ありがとうございます』

口角を上げ、ふわりと微笑むA先生に、マジで胸がキュンキュンする。

可愛すぎだろ。