白椿【ars/S.S】 (ページ34)

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「教えてくれるわけねぇだろ」

＊「分かんねぇよ、そんなこと。聞いてみなくちゃ。1人になった隙みて聞いてみろよ。まだ未練たらたらなんだろ？どうせ(笑)」

＊「え？そうなの？あれから彼女いただろ？別れたのだいぶ前だろ！」

「5年位前。その間に何人かと一対一で食事には行った。けどそれっきりだよ。笑えるだろ」

＊「あっはっはっは！マジ？女あてがってやろうか？」

「Aより良い女が俺の中ではいないから断る。どんだけ周りから評価が高い人でも嫌だ」

＊「お前、重症だな？どうした？Aちゃんと付き合う前は取っ替え引っ替えしてたろ。それに今のお前なら引く手数多なんじゃねぇの？」

まさしくこいつの言う通りだ。

実際にこっそり携帯番号を握らせてきたり

友達との飲み会だと思って行ったら、露出度高めの女が数人いたり

やたら距離が近かったり、ボディータッチしてくる尻軽女に誘われたりする。

だいたいそういう女は、男に媚び売ることしか考えてなさそうな馬鹿な人間だから、大嫌いなんだよな。

全員が全員そうじゃないんだろうけど、なんか嫌。

「そんな下品な女と一緒にいたら、俺がハイリスクすぎるだろ。だいたい誘ってくる女嫌いなんだよ。ガツガツしてて。そんな女どものために自分の時間を割くのが勿体ない」

＊「なぁ、いい加減Aちゃんから離れろよ。みっともねぇぞ」

「頭では分かってても本能がそれを拒否してる。もし出来るならとっくにやってるっつーの」

＊「適当な女抱いて忘れろ？な？」

「お前のいう通りに抱いたとして、それが週刊誌にバレたり、売られたりしたら、友達やめるからな！」

＊「おー、怖い怖い(笑)」

さっきから耳が痛ぇ。

忘れようと努力すればするほどAへの想いが消えないから、困ってんだよ。

俺だって忘れたいよ、出来ることなら。

俺じゃない相手とよろしくやってるかも知んないし。

でも友達の言う通り時間が経つにつれ、ダメ元で聞いてみるのもありかもと思い始めた俺は

ともちゃんが1人になるのを窺っていた。

そして1時間近く経った頃、人だかりから離れたともちゃんをようやく捕まえた。

出来るだけ冷静且つフランクで爽やかに話しかける。

「久しぶり。元気にしてた？」

そんな俺を捕らえた瞬間、一瞬たじろいだともちゃん。

なんならちょっと嫌な顔をしてきた。