白椿【ars/S.S】 (ページ3)

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どんだけ可愛い顔して俺を受け入れてくれているのかと、薄目で見れば

目尻も下げているように見えて、自分で言うのも何だが、めちゃくちゃ幸せそう。

Aの前でだけは、ジャニーズを、嵐を良い意味で忘れて、ただの男としていられる。

この時間は何にも変え難い、愛おしさと心地良さが俺の身体に充満していく。

『翔さん』

「ん？」

『翔さんは……今、私の目の前にいる翔さんは、私だけの翔さんですよね？』

「そうだよ。Aだけが独り占めしてもいい櫻井翔さんですよ？」

『んっふふ、贅沢ですねぇ』

「なんだそれ(笑)」

今度は指を絡めて繋いで、額をくっつけて微笑み合う。

鼻をすり合わせ、またキスをして……。

大学構内でこんなことしてるのは、不謹慎だと分かってるけど

このゼミ室は外から見えないから安全だし、OBの俺とAが逢瀬を重ねても違和感がないから

Aを守るには最適な場所の一つだ。

教授には悪いけどね(笑)

Aの就職が決まらない中、実は俺はニュース番組のキャスターに選ばれていた。

ジャニーズではまだ異例な事で、ここで初めて大学行っといて良かった～と心底思った。

でもそれを自分の口からはAに伝えづらくて……。

いつ言おうか悩んでたら

『翔さんってば、何で教えてくれないの？ニュース番組のキャスターに選ばれたの！』

俺のマンションの部屋にスーパーの袋を両手に抱えて、鼻息荒く入ってきた。

ネットニュースか、誰かから聞いたかしたんだろう。

キッチンにドサッ！！と勢い良く袋を置き、手際よく冷蔵庫に品物を入れていく。

卵が入ってそうな音がしたけど、大丈夫か？

俺の心配をよそに、ああでもない、こうでもないと俺に説教してくる。

「言いづらかったんだよ、Aは就職決まってないのにさ」

『教えてくれないほうがもっと嫌！翔さんのことは私が一番知っておきたいし、一番に知りたいの！』

ヤキモチ妬きモード発動だな……(笑)

こうしてたまにAに妬かれるヤキモチは悪くない。

すげー可愛いから。

「ごめんって。悪かった」

『翔さんズルイです！いっつも先回りして、私の感情を勝手に推測して内緒にするの！ダメ！』

「はいはい。分かった分かった。翔さんが悪かったです。そんなに怒んなって。な？可愛い顔が台無し。ほらぁ、そんなに唇尖らせてぇ。キスしてやろうか？」