鈴蘭の咲く頃8【ars/S.S】 (ページ8)

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教えてほしいくせに、教えると不機嫌になるし

翔くんに言わずに誰かに言うと、それが当たり前だけど、翔くんに伝わって

何でまず俺に言わねぇんだ！って怒る。

めんどくさい人(笑)

『でもうまく逃げ切ったもん。挟まるかと思った(笑)危なかった！』

私が笑いながら言うと、電話の向こうで翔くんもクスクス笑う。

「挟まんなくて良かったな？あと息子にも何もされなくてよかった。手は触られたけど」

『うん。でも、一駅前で降りちゃったから、また電車待ってないと。すぐ来るけど、アパートまで自転車だし』

「そうだな。帰るとき気をつけろよ？もう、暗いだろ？」

『ありがとう！翔くんも。気をつけてお仕事行ってね？』

「おぅ！Aの声聞いたから頑張れる！心配だから家着いたらラインいれろよ？」

『はぁい！行ってらっしゃい！』

「行ってきます！」

通話ボタンをタップして電話を切る。

僅かな時間だけど、この時間があるからこそ頑張れるんだよね。

翔くんも忙しいだろうに。

それにしても一気に疲れた。

帰ってすぐお風呂はいろ。

冷蔵庫に昨日のお味噌汁と、肉じゃがが残ってたからそれ食べて……

カ「A？」

色々考えてたら急にだれかに肩をポンと叩かれて、びっくりして身体が跳ねる。

『きゃっ！！カズマくん？もー！！びっくりしたー！今帰り？』

カ「あっはは！びっくりした顔超うけんね！そうだよ。Aは？この駅じゃねぇだろ？先生のアパートは」

こんな顔してたってからかいながら言ってくる。

『真似しないでよぉ。本当にびっくりしたんだから！！』

カ「ごめんて(笑)」

この駅にいる理由も含め、転校した高校時代の男友達で、よく遊ぶカズマくんにもさっきあったことを話す。

カズマくんなら翔くんと連絡先の交換してあるから安心だし。

カ「そんときの息子の顔、見たかったなぁ(笑)」

『なんかね、すっごいびっくりしたあと、笑ってた。でも、いつも使う駅知られたくなかったし、実家の家の近くの駅で降りたら先生とスカイプ出来ないからさ。ドキドキした！なんかね、警察の隙を見て逃げた犯人って感じで！』

カ「あっははは！そんなにか！」

そのとき電車が来たから、一緒に乗り込む。

さっきより人が多くて、背が低い私は顔がみんなの身体に埋もれて少し息苦しい。

カ「A？大丈夫？」

『ん、ありがとう。大丈夫』