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「気をつけろよ？」
『うん、翔くんも』
昨日1日散々いちゃついて、夜も寄り添うように寝て、空港に見送りに来た。
Aの左耳にはこっちに来た時同様、俺とお揃いのピアスが光ってて
首元にも、プレゼントした鈴蘭のネックレスが綺麗に輝いてる。
それらにそっと触れながら別れを惜しむ。
「A。愛してる」
『ん。私も。翔くんのこと、愛してます』
隙間なく抱き合って、何度かキスを交わす。
『空港なのにね(笑)』
「良いんだよ、アメリカなんだから。挨拶代わり」
『私、日本人なんだけど』
「俺も日本人だよ」
再会した時と同じような会話で、クスクス笑い合えばもう時間が迫ってくる。
『じゃあ……帰るね？』
「ん。着いたら連絡頂戴？」
『はい。実家にパソコン持って行ってあるからスカイプ繋ぐね？』
「おぅ。待ってる」
『じゃあ……またね？』
「ん。ごめん。あと1回」
名残惜しそうに後ろ向きに2、3歩、歩き出したAを呼び止めて、隙間なく抱きしめて、またキスをして。
「頑張ろうな？」
『うん』
「寂しかったらちゃんと言えよ？」
『うん……』
「愛してる」
『私も……』
Aの声が、身体が、寂しいって震えてる。
でも、きっとAのことだから、ここでは泣かないようにしてくれてるだろうから
気付いてないふりをする。
だって泣かれたら俺、絶対帰してやれないもん。
『翔くん、本当にもう行くね？……行ってきます』
「行ってらっしゃい」
最後に、俺の大好きなえくぼができる精一杯の笑顔を見せてくれて
ねぇねぇ？って手招きするから顔を近づけたら不意打ちにキスを一つくれて
ふふんって悪戯な笑顔を残して、俺に背を向けて歩いていく。
「はっ、やられた……(笑)」
飛行機が飛び立つのを見届けてから家に帰る。
たったの4日だったのに、Aがいた証と香りが部屋中に散らばってる。
冷蔵庫と冷凍庫覗けば、Aが作ってくれたおかずが残ってて胸が苦しくなる。
苦しい、苦しい、苦しい……。
愛することが、こんなにも苦しいって知らなかったよ。
泣きたくなるくらい、狂おしいほどAが愛おしい……。
だからお願い。
これからも俺だけのAでいて……。
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作者名：鈴
| 作成日時：2015年12月14日 2時
