鈴蘭の咲く頃8【ars/S.S】 (ページ30)

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Aが朝ご飯を食べて、化粧が終わるのを待ちがてら

Aリクエストの迷彩パンツに、白シャツに着替えたら、恥ずかしいほど、完璧なペアルックで指を絡めながら手を繋いで部屋を出る俺ら。

誰にも会いませんように、誰にも会いませんように、誰にも会いませんように……！

『聞こえてるから(笑)着なきゃいいのに』

「だってAがお揃いが良いみたいなこと……」

『言ったけど、着てなんて無理強いしてないもん。翔くんが勝手に着てやるわって言ったんだから、もっと堂々としてよね。そもそも路上キスなんて当たり前の国なんだから、ペアルックなんて恥ずかしくないでしょ？』

「だってキスは挨拶だし」

『うるさい。文句言ってたらもう作ってあげない』

「はい、すみません」

えっ、即謝ったけど、まさか俺、今、うるさいって言われました？

言われたな。うん。

しばらく見ないうちに随分ズケズケと言うようになって……(笑)

こういうのは言うのに、何で肝心なことは言ってくんねぇのかなぁ。

＊「Shoー！！」

やっべ……。

まだアパートから数歩しか出てないのに気付かれた。

誰だろ？

恐る恐る振り向くと、同じ部署で研修してるマイク。

背が高くて、ガタイもいいからいつ見ても威圧感を感じる。

「……おぉ、マイク。おはよう。これからどっか行くのか？」

＊「おはよ、友達と買い物にな！っていうかさ、お前こそ妹と手繋いでペアルックでさ(笑)どこ行くんだよ」

Aも日常会話程度なら一応喋れるから、俺らの話の内容は理解してるはず。

だから妹って言われてちょっと傷ついてるのか、俺の手をぎゅっと握って、切ない表情でマイクに軽く会釈してる。

「いや。妹じゃないよ。婚約中の彼女。可愛いだろ？」

そういうと、驚いた顔で耳元でマイクが小さな声で言ってくる。

＊「おい！まだ未成年だろ！？お前ロリコンか？(笑)」

「あー……」

日本人は、幼く見えるからな。

仕方ないよな。

しかもAは背も低いし、少し童顔だから。

いつもなら高いヒール履いてるから一応大人っぽく見えるけど

あいにく今日はスニーカーにミニスカートっていう、少しあどけない格好だから余計か。