鈴蘭の咲く頃8【ars/S.S】 (ページ29)

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「いや、似合ってるし、可愛いけど！何で日本で履くの恥ずかしいのに買ったんだよ(笑)」

『結構前から持ってたんだけど、うっかり翔くんとお揃いに、ね？なるかなぁと思って(笑)そしたら恥ずかしくて……アメリカだったら知ってる人いないしイケるかなぁって』

うっかりって……(笑)

「迷彩が恥ずかしいのか、俺とお揃いになるのが恥ずかしいのか、迷彩自体がダサいと思ってるのか、どれだよ」

『えっ、全部(笑)でも、ペアルック流行ってるじゃん？一周回って。どうせ、今日も白いTシャツに迷彩のパンツでしょ？』

なにこいつ、どうせって。

俺のことディスってんの？(笑)

「スーパーまでだからな、仕方ねぇから着てやるわ！！」

『あっはは！翔くんと、おそろーい♪』

ねぇ？って、可愛く笑いかけてくれるから憎めない。

けど、ペアルックってバカップルだろ。

しかもここ一応社宅だから会社の奴らに会ったらどうすんだよ。

休みが終わったら確実にからかわれるだろ。

誰にも会いませんように(笑)

空きっ腹にコーヒーは危ないなって昨日買ってあったサンドイッチを食べながら

俺の飲み終わったマグカップにコーヒーを淹れて飲むA。

『ふー、ふー、んん……あっつ』

「もっと冷ませよ(笑)」

『早く飲みたかったの、このコーヒーが』

「Aってさ、せっかちだよね」

『うーん。かなぁ。待ち合わせとかも、遅れたことないもんね。でも、翔くんよりはのんびりだと思うよ？』

「だな(笑)」

さっきより念入りにふーふーしながらマグカップを両手で包むようにして持って、コーヒーを少しずつ飲んでる。

『ん、やっぱり、美味しいね。早く帰ってこないかな。コーヒーメーカー』

「そこは、俺じゃねぇのかよ！(笑)」

『んふふ。翔くんは、当たり前』

そう言って俺の目の前で伏し目がちにふんわり笑ってくれる。

あー……なんて甘くて爽やかで穏やかな朝。

逐一思う、帰したくねぇな(笑)