鈴蘭の咲く頃8【ars/S.S】 (ページ16)

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「ほらほら、そんなに泣くと、チケットがくしゃくしゃになるぞ(笑)」

『んん、だぁってぇ……！お願いごと、翔くんに会えますようにってしたの。寂しかったから』

「そっか。俺も。絶対会おうな、A」

『ん、風邪引かないように頑張る！』

「Aは毎年夏風邪引いてからの喘息だもんな(笑)気をつけろよ？」

『うん！ほんっとに嬉しい！！翔くんありがと！！』

涙を拭って、キラッキラの笑顔で喜んでくれる顔が見られて良かった。

「部屋、掃除しとかなくちゃな(笑)」

『そうだよ！えっちなDVDとか、本！隠しといてよ！？』

「はい、分かってます」

実は、大人のDVD。

リージョンが違って見られなかったの忘れててさ。

見れてないんだよねぇ。

Aにバレて、焦ってダンボールに入れたのは良いんだけど。

せっかく入れたのにさぁ。

残念(笑)

だからダンボールに大人しく戻したよね。

さっきから、画面の向こうでチケットを胸に抱いてるAの全身から嬉しさと、待ち遠しさが溢れ出してる。

ほんと、こういう素直に感情を出すとこ、いつまで経っても可愛い。

「気をつけてこいよ？」

『うん！飛行機に無事に運んでもらうね！1人で飛行機乗るの初めて！初めてのおつかいみたいでワクワクするー！』

「あっはは！お母さん達にもちゃんと言えよ？心配するから」

『うん！ねぇ？もっかい言うね？すーっごい楽しみ！！』

「うん(笑)俺もねぇ、すーっげぇ楽しみ！！」

その後もAが眠たくなるまでスカイプを繋いで、散々くだらない話をして、Aの夢の世界の入り口まで付き合って、スカイプを切った。

来月中旬。

このためにAが夢の中で楽しんでる間に仕事と研修を詰めて詰めて……。

こっちに来てからAがいない寂しさとか、もどかしさとかを全て仕事に向けてきたから。

早く抱きしめてやりたいなぁ。

身体中にAを感じたい。

Aの匂いを身体中に充満させたい。

早く、早く、早く。

本当に待ち遠しいよ……。