鈴蘭の咲く頃4【ars/S.S】 (ページ29)

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『近いぃ……！』

「だって近づいてるもん」

『んん、もぉ……』

「ほら、今度は唇、出せよ」

『いや、ここ、外……///』

胸板をぐーっと押し返してくるけど、そんな力じゃ全然弱いから、俺もぐーっと上半身を抱き寄せる。

「やーっと捕まえた(笑)」

『やぁ……///』

「唇、ちょうだい」

Aちゃんの返事を聞く前に、いつもする、チュッって触れるだけの可愛いキス。

そしたら

＊「あらあら、新婚のご夫婦？」

＊「こんなところでー。仲が宜しいですな」

近所に住んでるのか、タオルだけ持ってる身軽な格好の老夫婦が、仲良さそうに手を繋いでやって来た。

『あ、ちが……///』

「えぇ、新婚なんです。そちらも、仲良しですね？」

＊「んふふ、もう2人とも、あの世に片足突っ込んでますから。手を繋いでないと、どっちかすぐに転けて落っこちますでしょ？」

よいしょって言いながら、仲良く足湯に浸かるご夫婦。

言うことなかなかパンチあるから何も言い返せねぇわ(笑)

『しょぉくん、新婚って……！全然、違う……///』

また耳まで真っ赤にして、小声で話しかけてくるから

「さっきも言ったじゃん。真剣って。いずれこのまま付き合ってたら、新婚になるつもりだし、なんなら、あの夫婦みたいになりたいから。それに否定すんの面倒じゃん(笑)嫌だった？」

俯きながら、目の前の老夫婦に聞こえないように、耳元で囁く。

『や、じゃない、けど……！照れる。甘すぎて逆上せそ……///』

「足湯で逆上せないでしょ(笑)まぁ、そろそろ行きますか？帰りがてら蕎麦食べて帰ろ」

『うん……///』

老夫婦に軽く会釈して、手を繋いで、足湯を後にする。

またくだらない話をして、蕎麦屋に向かう。

その道中も、紅葉が綺麗で溜息を漏らしてるから

それを見るAちゃんもやっぱり綺麗で……。

俺の中の細胞が、Aちゃんの魅力に取り憑かれて頭がおかしくなりそう。

・

「ここのね、ぶっかけ蕎麦が超うまいの！」

『へぇ、楽しみー！』

蕎麦屋への道も空いてて、ロスなく店着いたから、早速席に座って注文して食べる。

『んー！ほんと！すっごいおいしい！こんなおいしいお蕎麦、初めて食べた！！』

「うんま！ねぇ、すげぇうまい。東京で食うのと、やっぱり違うわ。ほんとうまい」

『感動する！おいしすぎて、笑えてくる！』

「ねぇ！(笑)」

そのあとも、2人して美味い美味いって感動して、店を後にする。