4 ページ22
「腰、大丈夫？痛くない？」
『大丈夫です！ありがとうございます！』
「痛かったら無理しなくていいからね。休憩しよ」
『はい。あっ！翔くん見て！ほら、あそこ、葉っぱが黄色く染まってる！紅葉の季節ですねぇ。秋、大好きです！』
ダム見て、蕎麦食いに行くとしか、伝えてないから、所々秋色に染まり始めた葉を見て、嬉しそう。
「今日は紅葉も楽しめますよ」
『わぁ！楽しみです！』
「ねぇ」
『うん！』
敬語が主だから時々タメ口で話されると、ちょっとドキッとするんだよね。
あ、今、心許してくれたのかなみたいな。
んで、今みたいにキラッキラの可愛い笑顔で、俺の方を見てくれたりなんかすると、余計にドキッとして、胸がキュンってなる。
「はぁい。着きました。まずはね、黒部ダム行きます！紅葉とダムのコラボレーション、すげぇ良いらしいよ？お昼はね、そこでダムカレー食べんの」
『楽しみです！あの、放水が目の前で見れるんですね！興奮します！！』
ダム、あんまり好きじゃないかなって思ったけど、結構楽しみにしててくれてるみたいで良かった。
あとビデオカメラも、カメラも忘れずに持ってね。
この日の思い出を記憶にも、記録にも、しっかり残しておきたいからさ。
「黒部ダムまでね、トロリーバスで行こ。そっちのが大破砕帯が見れるし」
『大破砕帯……？』
「トンネル。当時はね、掘るのが大変で、その破砕帯から水が噴き出ちゃってさ、そのせいで亡くなった人もたくさんいたんだけど、別のルートからコンクリと、薬剤で掘り進めるところを固めてね、当時としては最新鋭の技術で、掘り進められたんだ」
『へぇ！翔くん物知り！じゃあその、トロリーバスで苦労の賜物、破砕帯が見れるんですね！』
「そうだよー！黒部の太陽だよ！」
『ふふん、三船敏郎と石原裕次郎ですか？』
「よくご存知で(笑)」
だけどさ、これがね？って言ってる間に破砕帯終わっちゃって……。
『早いですね！破砕帯。数秒でした……(笑)』
「ね、時代ですかね(笑)ま、でも黒部ダムはここからだから！！」
『そうですね。楽しみです！』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 240人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鈴
| 作成日時：2015年10月10日 18時
