[特撮] silver bullet 3 <短編>

遅咲きの花束/鬼島夏児 ページ2

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カニと鈍感幼馴染 大学生編
ようやくカニが告白するよ(遅


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大学に残って勉強していたらAから電話がかかってきたのが、つい数分前。その声が震えている気がして、急いで外へ飛び出した。


恋人でもないのに一緒に住んでいる俺達は、自分から見ても不思議な関係だった。幼馴染で、でもただの幼馴染ではなくて、恋人でもない。


なんて、俺がどこまでも意気地がないから「好き」と言えないだけ。


急いでドアを開けると既に彼女は玄関にいて、俺を見るなり泣き崩れた。


「…A？」


彼女が膝を落としてこんなに泣いているのを見るのはいつぶりだろう。少し泣くことはあっても、大泣きするところは最近全く見ていない。
靴を履いたまましゃがみこんで顔を覗き込む。


「辛いことがあったのかい？」


Aは、否定もしなければ肯定もしなかった。嗚咽でそれどころじゃないんだろう。でもきっと、首を振らないということはそういうことだ。


次に何を言えばいいのかわからなくて、片手で髪を撫でた。彼女の髪に触れることは出来ても、揺れる肩を抱きしめる勇気は俺にはない。


撫でたってAが泣き止まないことは俺が1番わかっている。


「…守るよ」


ぽつりと、滑り落ちる様に、自分の口からそんな言葉が流れ出た。


「Aに何があっても、俺が守る」


だから、だから。
上下する肩を、震える手を、泣いている君を、全部俺に欲しい。君の全てが欲しい。


「…俺、Aの恋人になりたいよ」


小さくそう呟いた。掠れていたけれど彼女の耳に届いた様で、その頭がゆっくりと上がる。
赤く腫れて潤んだ目が俺を綺麗に映して、雫が床に落ちた。


言わなきゃいけない。喉でつっかえたままの言葉を、今言わないといけない。




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