紙切れ/鬼島夏児 ページ46
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カニと鈍感幼馴染 高校生編
付き合ってない
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扉を開いて外に出ると、既に夏児が待っていた。
「ごめん、待った?」
「いやあ全然?少し髪切ったんだね」
風に揺れる髪に優しく触れて、毛先の方を撫でる。
よくわかったね、と驚く彼女に夏児は笑ってみせた。Aが髪を切って彼が気付かなかったことはない。
「夏児は相変わらず観察力がすごいね」
「別に?Aにだけ、なんだけど」
夏児がそう言っても、彼女は嬉しそうににこにこ笑ったまま。
「…んー」
彼は苦笑いして目を伏せた。
Aはいつになったら気付くんだろう。
いつも通り2人で登校する道、いつも通りのバス、いつも通りの到着時間にいつも通りの玄関。
何の変わりもない朝の中で、いつもと違うところが1つだけあった。
「うわっ」
下駄箱の扉を開けるなり、背後でそんな悲鳴をあげるAの視線の先には、折り畳まれた小さな紙切れが一枚。
開きかけた隙間から、何か文字が書いてあるのが少しだけ見える。
彼女が手に取るより早く、夏児が後ろから手を伸ばしてそれを奪った。
睨む様に紙を開いて、中に書いてある文を目で追う。
「先生からの呼び出しかなぁ、…朝から?これから職員室行くの?私何かしたっけ?」
Aはというと奪われたことをあまり気にしていない様で、これから教師に説教されるのかと心底嫌そうな表情を浮かべている。
けれどその後ろで紙切れを見ている夏児の方が、冷たい目をして嫌そうな顔をしている。
「何て書いてあった?」
説教される様なことが思い浮かばず振り返ったAを見て、彼はすぐ微笑んだ。
まるでさっきまでの冷たい目が嘘の様に思えるほど。
「Aの隣の下駄箱の奴宛てだねぇ。あたしが後で先生に伝えておく」
「やっぱり先生からの呼び出しだったんだ!心臓に悪いから下駄箱は間違えないでほしいな…」
靴を履き替える彼女を横目に、夏児はその紙を破いてそこにあったゴミ箱に捨てた。
「夏児?何してるの、早く〜」
「はいはい、今行くよお」
___紙切れは、彼女を校舎裏へ呼び出すラブレターだった。
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こぼれ話
まさかのシリーズ化
高校生の鬼島くんは女の子に男が寄り付かない様にいつも側にいる。クラスが離れても一緒に登下校するしラブレターは破り捨てるし女の子のことを好きになった男の前でいかにも彼氏かの様なアピールもする(やめなさい)でも踏み切れなくて告白できない。がんばれ。
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桜もち。@椿くん推し(プロフ) - 今更ながらコメント失礼致します✨✨ちょこちょこ読ませて頂いていたのですが、このシリーズ、マニアックなキャラもいてとても嬉しいです………!!影山瞬くんの夢少ないので本当に救われました…………💖これからも応援しております! (5月12日 19時) (レス) id: 849756f787 (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - めぐみさん» そう言って頂けて何よりです!!こちらこそリクエストありがとうございました^^ (2021年5月7日 21時) (レス) id: 5788508e88 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - ありがとうございました、楽しかったです! (2021年5月6日 10時) (レス) id: 5c66241426 (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - めぐみさん» 返信遅くなってごめんなさい>< リクエスト了解しました! (2021年5月2日 19時) (レス) id: 5788508e88 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - コメント失礼します、同じリクエストが被ってしまいすが、グラファイトと滅に取り合いされるお話を読んでみたいです!無理なら大丈夫です… (2021年3月18日 22時) (レス) id: 5c66241426 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まめ | 作成日時:2020年3月6日 15時